アベノミクスは「貧富の格差を広げただけ」という声もあります。確かに、国を挙げての経済政策ですから、「買えば儲かるよ」と言っているようなものだと言える一面もあります。
元手が潤沢にある人はこの波に上手く乗ればより大きな財産を手に出来るでしょう。反面、貧しい人はどんどん貧しくなっているという実情もあります。
アベノミクスで一番大きいことは「中間層がなくなった」ことだと思っています。インフレターゲットの設定により、円安誘導による物価高なども影響しています。
政策には光と影が必ずあります。万人が全て納得する(出来る)制作というものはほとんど存在しないでしょう。
こういった社会背景のもと、この記事では国民が「どれだけお金があればやっていけるか?」について、公益財団法人生命保険文化センターが3年に1度実施している「生活保障に関する調査」の調査結果(直近は平成25年度)に基づいて書いていきたいと思います。
老後の最低日常生活費は平均22.0万円
この意識調査では、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費(月額)は平均22.0万円と算出しています。
- 15万円未満 5.0%
- 15~20万円未満 14.1%
- 20~25万円未満 32.3%
- 25~30万円未満 15.8%
- 30~40万円未満 15.8%
- 40万円以上 1.7%
- 分からない 15.4%
この分布では「20~25万円未満」が32.3%と最も多くなっていますね。
ゆとりある老後の生活費は平均35.4万円
最低必要なお金が上記の通りなら、では『更に、どれだけあれば「ゆとりがあるか」』について調べた結果、ゆとりある老後生活を送るための費用として最低日常生活費以外に必要と考える金額は月額平均13.4万円という調査結果が出ました。
つまり、上記「最低限必要な金額」とこの「ゆとりある生活を送るために追加したい金額」を合計した「ゆとりある老後の生活費」平均で月額35.4万円となります。
- 20万円未満 2.6%
- 20~25万円未満 7.6%
- 25~30万円未満 12.3%
- 30~35万円未満 22.5%
- 35~40万円未満 10.3%
- 40~45万円未満 11.7%
- 45~50万円未満 3.1%
- 50万円以上 14.5%
- 分からない 15.4%
では何をもって「ゆとりがあるのか?」という上記13.4万円の内訳はどうなっているかというと、それは以下のようになりました。
- 旅行やレジャー 60.3%
- 趣味や教養 50.1%
- 日常生活費の充実 49.4%
- 身内との付き合い 46.7%
- 耐久消費財の買い替え 23.7%
- 子供や孫への資金援助 19.8%
- 隣人や友人との付き合い 15.0%
- 取り敢えず貯蓄 3.3%
- その他 0.5%
- 分からない 0.5%
人それぞれなんです……
夫婦2人の意識調査です。独身の人の意識は違うかも知れません。
「子供や孫の……」というものもあります。お子さんをお持ちでない場合は当然変わって来るでしょう。趣味やレジャーが最も多いですが、そもそもそういうものに関心がない人もいれば、関心があってもそれほどお金を掛けようとは思わない人もいます。
毎月国内旅行、年に一回は海外旅行、こう考えればそれは当然高くつきます。趣味にしたって、田舎で畑を耕してのんびり晴耕雨読の生活を楽しみたいという人もいます。
最近はそういう人たちのセカンドライフを紹介するテレビ番組も人気がありますよね。こういう生活なら最初に元手が多く掛かったとしても、それ以降は余り掛からなかったりします。でもそれがゴルフや船を買って航海に出るとかだと毎回毎回が高くつきます。
この調査結果は色々な所で引き合いに出されます。それだけ多くの人が信頼に足りる調査と思っているのでしょう。
ですが、この「ゆとり」の部分は、その人の家族環境やその人自身の価値観・趣味によって千差万別なのですね。
「こういうこともしたいなぁ!」と願望として計上している金額であったりもします。必ずしも「こういうことをしたいし、実際にその金額をコンスタントに用意出来る」というわけではないのです。
事実、この3年に1度の調査は、この「ゆとりを持たせるために上乗せする金額」部分は毎回減って来ているのです。社会・経済情勢も当然ありますし、社会全体の、世間全般の価値観が変わったことも当然あり、看過出来ません。
バブルの時代と違って、「草食系」という修飾詞が色々な言葉に付くように、今はどこか淡白で、「そんなことにお金掛けるのって馬鹿みたい」という風潮もありますよね?
反面、医療技術の発展によって助かる病気、助かる命が増え、それによって寿命も延び、人間は誰しも加齢によって病気を望まなくても抱えますから必要金額の部分はむしろ今後増えるかも知れません。
医療費をまかなうための社会保険、税金、そういったものは時代に関係なく必要だからです。そしてこういったことが、「他のことにお金を掛けるより……」と、余裕を持つために上乗せする部分に多少なりとも影響するでしょう。
まとめ
多くの人を対象にして意識調査をするという意味で、こういった金額や内訳は平均化されます。
この調査でこういう結果が出たからといってそれが本当に必要だという根拠はないですし、実際あなた自身も「こういうことに自分はお金掛けないなぁ!」と思っているかもしれません。
本当に必要と思えるお金も、価値観次第で必要でないと思えたり自分はそこまでの金額は必要ないと思えたりするものです。その逆もあるでしょう。このお金は必要だとか、自分はこの部分はもっとお金を掛けたいとか、ね。
色々なことにお金が掛かるのは事実です。でも同時に何が幸せかは人それぞれです。あなたなら、この記事を読んで、この調査結果についてどんな考えを持ちましたか?
お金のやりくりというか、お金を用意するのも増やすのも、日頃の(生活の)知恵次第です。この記事があなたにとってそういったものを導くきっかけになってくれたら嬉しいです。