株式投資には期待値がプラスになる売買ルールを作る事が重要になります。それは期待値がプラスな行為を繰り返す事により、確率は収束し、安定的に利益を得られるようになるからです。そこで、期待値がプラスになる売買のルール作りのコツについて解説していきます。
期待値がプラスのルールとは?
コインを投げて、表が出るか裏が出るかを当てるゲームがあるとします。賭け金は100円で表が出れば120円になり、負ければ90円になるとします。この期待値は110円で、ゲームを繰り返す毎に10円の利益を見込めます。この時の様な状況を期待値がプラスと呼びます。
期待値はプラスでも、900円の元手があり、9連敗すると元手はたしかに失ってしまいますが、繰り返す毎に確率は収束していき、ゲーム毎に10円の利益がでるという事ができます。
株式は企業活動により利益をあげて、それを投資家に還元するといった仕組みなため、投機とは違い投資であり、期待値はプラスです。
しかし、上記のコインゲームの例で言っても、元手の900円を一括で賭けて、勝ったとしてもさらに元手を全て賭けるという事を繰り返していては、資産を全て失ってしまう確率の方が高いです。
さらに、賭け金が100円で、表が出れば110円になり、裏が出れば80円になるゲームであれば、期待値はマイナスです。この時でも、勝てる事もありますが、繰り返せば繰り返すほど確率は収束し、ゲーム毎に10円の損失を出してしまう事になってしまいます。
そこで、売買のルール作りでは、作ったルールは本当に期待値がプラスなのかを考察しなおす事と、そのルールを長期的に繰り返すルール作りが必要になります。
期待値がプラスなルールの例
期待値がプラスなルールは、投機から投資に近づける事が基本です。銘柄や商品の分散・時間の分散・資産の分散などの分散投資のルールがその例です。これらは分散すればするほど間違いなくリスクは下がり、期待値は上がります。
銘柄の分散の中でも、より効果の高い銘柄を選ぶ事も重要です。例えばバリュー株を購入する際には、PERとPBRが低く、ROEが高い銘柄を買うことによって割安な株式を購入する事ができます。
PERとPBRが低くROEが高い株式があっても、それよりもさらにPERとPBRが低くROEが高い安い株式があれば、その株式はより期待値が高いという事ができます。PERとPBRがいくら以下でROEがいくら以上というルールを予め作っておく事により、バリュー株を見つけても、焦って購入し、よりバリューな株式を見つけた時に購入できないという事をなくし、期待値を高める事ができます。
他にも損切りのルールなどもあります。これは予め10%株価が上昇したら買い、5%株価が減少したら売却するなどのルールを作っておく事です。このルールは時には定めない方が期待値を上げれる事もあります。自身が損切りをしっかりと行えるかを判断し、ルールを定めましょう。
手数料のルール作りもあります。手数料が0円であれば、売買を短期的に何も考えずに行った場合には、ゼロサムゲームであり、期待値はゼロ(プラスでもマイナスでも無い中間)となります。しかし、手数料が掛かるのであれば、その分期待値はマイナスになってしまいます。インカムゲインとキャピタルゲインを考え、どの位の時間と値動きがあったら売買を行うのかのルール作りを行いましょう。
最後に、税金のルール作りを解説します。株式は利益に対して20.315%の税金が掛かります。1年で100万円の利益があれば、20万3150円もの税金が引かれてしまいます。しかし、損益通算という制度もあります。
これは過去3年間遡って損失を利益と相殺できるというものです。例えば3年前30万の損失を出し、2年前にも30万円の損失を出し、1年前には40万円の損失を出していれば、今年100万円の利益確定を行えば、税金は相殺され0円になるというものです。
上記の例で今年100万円の利益確定を行わず、来年以降に持ち越せば、100万円の利益確定を行った時に20万3150円もの税金が掛かってしまいます。この様な場合には利益確定を行っても税金より購入手数料が安くなる事があります。その場合に株式を持ち続けたいのであれば一度売却し、買い戻す方が期待値を上げる事ができます。
購入する面でも、売却する面でも、購入手数料の面でも、税金の面でも、ありとあらゆるルールを作る事ができます。売買する度に、定めたルールは適正かを考察しなおしていけば、より良いルールに変えていく事ができます。