株式投資では買うタイミングと同じだけ売却するタイミングも重要になってきます。買った金額と売却した金額の差額が損益になるからです。しかし投資家というものはどうしても欲をもってしまい、売却をためらい売りどきを逃してしまう傾向にあります。
そこで売り時について考えていきます。
買うタイミングでなければ売り時
証券会社の売買委託手数料は自由化により1999年以降急激に安くなりました。ネット証券であればそれは尚更です。手数料が高い場合には、手数料以上の譲渡益や配当金を得なければ損失を出してしまっているという事になります。そこで短期的な売買は効率的ではありませんでした。自由化前は約定代金の1%程が売買委託手数料でした。
買う時だけでなく売る時にも手数料は掛かりますので往復2%という事になります。例えば100万円の株式を購入した時点で約2万円もの損失を出しているという事になります。これでは少し株価が下がったからといって売却してはそれだけで大きな損失を出してしまいます。
しかし仮に手数料が無料である場合には、短期的に売買しても損失は被らない事になります。ネット証券の先駆けである松井証券は1日の約定代金が10万円までであれば手数料は無料となります(2016年1月25日時点)。
手数料が無料である場合を仮定すると、買い時でない時は売り時であるという事ができます。信用取引を利用すると、空売りもする事ができるので、今は買い時でないと思えるのであれば現物を売るか空売りをすれば期待値を高める事ができます。
もちろん買い時か売りどきかの2つに分ける事ができても、そのレベルというものは違います。手数料の大小に応じて、いつもより株価が下がる可能性が高いから売りだとか、いつもより株価が上る可能性が高いから買い時だと決める必要があります。
もっと高い利益を出したいと思い利益確定ができなかったり、損失は出したくないと思い損切り出来なかったりと、売るタイミングは買うタイミングより躊躇しやすいものです。その時には、今は買い時か売り時かのどちらかを考えてみると、判断を誤る事は少なくなります。
売る時にも時間分散を行う
株式を買う時には銘柄の分散以外にも時間の分散も重要です。ドルコスト平均法などがその代表例であり、時間を分散する事によって安い時に多く買う事ができ、平均購入価格を下げる事ができます。この時間分散は株式を売る時にも同様の事が言えます。
株価の推移は誰もが完璧に予想する事はできません。そこで株価を買う時には時間分散が必要だと言われておりますが、売る時であっても株価の推移を完璧に予想する事は出来ないため、時間の分散を行うことにより、平均売却価格を上げる事ができます。
例えば毎月売却する場合、株価が100円であれば200株売却するとします。この時、株価が1.5倍の150円になれば売却する株も1.5倍の300株売却し、株価が0.5倍の50円になれば売却する株も0.5倍の100株にします。こうする事により、株価が高い時には多く株を売り、株価が安い時には少ない株を売る事ができて、平均売却価格を高める事ができます。
この方法のデメリットとして、一般的に売買委託手数料が一括での売却に比べ多く掛かる事が挙げられます。しかし手数料の安い証券会社を選べば、株価の値動きに比べると手数料は微々たるものなので、株式投資での勝率を高める事に繋げる事ができます。
また上記でも紹介した松井証券であれば、1日の約定代金が10万円までであれば手数料は無料となる為(2016年1月25日時点)、分散する事により10万円以下に抑える事ができれば、この手法の方が手数料の面から考えても有効であるという事ができます。