信用取引

信用取引の金利・貸株料・逆日歩の計算方法

買いで入る時はお金を貸し、売りで入る場合は株式を貸します。

 

お金を貸せば金利は当然もらいたいでしょう。株式を貸せば、貸し付けに対するコストは誰かに負担して欲しいでしょう。貸す株式が不足した時には更に株式を調達しなければならず、その調達コストは当然誰かに負担してもらいたいでしょう。

 

投資家はこういったコストを支払わなければなりません。でもこれらが言い値であっては決していけません。

 

信用取引における金利・貸株料・逆日歩はどのように計算されるのでしょうか?この記事は金利・貸株料・逆日歩の計算方法について解説します。

 

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金利

信用取引では自己資金以上の金額を動かして取引が出来ます(レバレッジが効く)。また、株式を得てそれを売ることが出来ます。

 

自己資金以上のお金や株式は証券会社が貸してくれます。証券会社は貸している以上、当然そのコストを徴収します。金利ですね。

 

信用取引で「買い注文を入れる時に借りたお金」に対して払うのが「金利」です。株式を借りている時に支払うのが「貸株料(そしてその株式が不足した時は更に逆日歩も)」です。

 

貸株料とは?

信用取引で売りから入る場合(空売り)、空売りする株式を借りることになります。

 

借りる以上は、借りている間お金を支払わなければなりません。これが貸株料です。

 

逆日歩とは?

超初心者でも分かる!貸借取引とは何か?』で解説していますが、証券会社は空売りをする投資家に貸し付ける株式がなくなった時、証券金融会社から株式を借ります。

 

証券金融会社でも証券会社に貸し付ける株式がなくなった時は機関投資家などから株式を調達します。

 

証券会社が証券金融会社から借りる時、証券金融会社が機関投資家などから借りる時、当然コストが掛かります。

 

そのコストを回収するために、その株を空売りしている投資家に対して「貸株料とは別に負担させるお金」が逆日歩です(この逆日歩は機関投資家などの株式提供者や買いで入った投資家全てが受け取ります)。

 

株式が不足した時全てに逆日歩が付くわけではありません。株式不足の状態になっても証券会社が株式をまわせる(融通出来る)大型株の場合なら株不足であっても貸し付ける際にコストが掛からない場合があるからです(発行株数の少ない小型株はその分逆日歩が付きやすくなります)。

 

不足すれば逆日歩は発生します。そして「発生したら金額は一定」ではありません。株式の不足が大きくなった場合はその分逆日歩は高くなります。その逆で株式不足が解消されれば逆日歩も解消されます。

 

計算前に必須の前提知識

金利・貸株料・逆日歩は1日単位で発生します。「1日あたり○○円」ということですね。

 

ということは、「何日分か?」ということが重要になります。金利・貸株料については両端入れで計算します。

 

両端入れとは利息計算で使われる言葉で「初日と最終日の両方を日数に入れて計算する」ことを言います。

 

逆日歩については片端入れで計算します。片端入れでは最終日は日数に入れません。

 

 

デイトレードは1日分ですが、1日持ち越した場合は初日と翌日を両方入れるので両端入れでは2日分となります。

 

「いつ」から「いつ」までかについては「受け渡し日」を基準にします。受け渡し日は売買の決済をする日のことで、売買の約定日から起算して3営業日後です。

 

両端入れだと以下のようになります。

 

11日の売買は14日が受け渡し日となり、12日に決済した場合は15日が受け渡し日となって、両端入れとして14・15日の2日が期間となります。

 

12日の売買は15日が受け渡し日となり、13日に決済した場合は18日が受け渡し日となって、両端入れとして15・16・17・18日の4日が期間となります。

 

どちらも翌日に決済したのに、受け渡し日の算定で土日を挟むと期間が変わるのです。

 

曜日

11

12

13

14

15

売買

 

 

 

 

 

決済

 

 

 

 

 

期間

 

 

 

 

 

曜日

11

12

13

14

15

16

17

18

売買

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決済

 

 

 

 

 

 

 

 

 

期間

 

 

 

 

 

 

片端入れだと以下のようになります。

 

11日の売買は14日が受け渡し日となり、12日に決済した場合は15日が受け渡し日となって、片端入れとして14日の1日が期間となります。

 

12日の売買は15日が受け渡し日となり、13日に決済した場合は18日が受け渡し日となって、片端入れとして15・16・17日の3日が期間となります。

 

どちらも翌日に決済したのに、受け渡し日の算定で土日を挟むと期間が変わるのです。

 

曜日

11

12

13

14

15

売買

 

 

 

 

 

決済

 

 

 

 

 

期間

 

 

 

 

 

 

曜日

11

12

13

14

15

16

17

18

売買

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決済

 

 

 

 

 

 

 

 

 

期間

 

 

 

 

 

 

 

計算の実際

金利計算

金利は2.3~3.0%が多いですが、ここでは仮に2.3%だとします。約定金額×年利率÷365で一日あたりの金利を算出出来ます。

 

300万円を信用買いした場合、約189円が一日あたりの金利となり、これに日数を掛けることとなります。

 

貸株料

空売りで入る場合、株式を借りて売るのですから、株を借りている間はコストが掛かります。これが貸株料です。

 

金利と同じで、料率を貸株料にして計算します。保有数量×終値×貸株金利÷365で一日あたりの貸株料を算出出来ます。

 

この金利は保有している「銘柄」や「保有数量×終値の値段」を基準に変わります。

 

証券会社毎に異なるので必ず確認して下さい。

 

仮に、ある銘柄を1000株借りて空売りし、その日の終値が900円で貸株金利が1.15%だったとすると、

1000×900×0.0115÷365

で約28円となります。

 

逆日歩

逆日歩が発生した日だけを基準とします。

 

片端入れで期間を算定します。逆日歩×期間です。ただ逆日歩は「○○株あたり□□円」なので売っている株数に応じて計算します。

 

持ち越しをしていることが条件なのでデイトレードなどの日ばかりの場合は逆日歩は発生しません。

 

逆日歩は金額が変わることもあります。その場合はその金額毎に期間に基づいて計算します。

 

まとめ

少しややこしいですね。

 

ですが実際はオンライントレードで取引する分にはこのような計算は全てシステムが一瞬にして処理してくれます。

 

システムは正直です。計算のアルゴリズムに間違いがない限り、入力に間違いがない限り、基本的に間違えることはありません。

 

ですが利息というものは怖いです。知らない間に膨れ上がり、特に逆日歩などは株式の不足状況によって発生し、その額も常時一定ではありません。

 

売りで入って含み益があるのに逆日歩が発生して決済する投資家もいます。

 

自分の含み益・含み損を知るだけでなく、それ以外の諸々の経費が度のようになっているかを把握することは必要ですし、それが計算が正しいかどうかの判断根拠にもなります。小数点などの寸分違わぬところまで一致させなくても、せめて計算式を把握しておき、大体の金額が算出出来るようにしておきたいものですね。

 

 

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