信用取引

信用取引の決済方法について(反対売買、現引、現渡)

審査で落ちる?信用取引の口座開設条件と審査基準』で紹介した信用取引。現物投資は買って売るという一連の流れがありますよね?信用取引ではどうなっているのでしょうか?

 

……ここにひとつのリンゴがあるとします。

 

そのリンゴを100円で買って、誰かに150円で売れば、50円の利益になりますよね?100円で仕入れて150円で売れたのですから。でも50円でしか売りさばけなかったら50円の損ですよね?

 

……ここに時価100円のひとつのミカンがあるとします。

 

あなたはそのミカンを借りて売りました。時価100円ですからすぐに100円が手に入ります。ですがまだ借りたままです。借りた以上、返さなければなりません。

 

借りたものは何ですか?そう、ミカンです。

 

そのミカンの価格が下落し、50円となりました。あなたは50円でミカンを買います。そして50円で買ったミカンを返します。貸した方はミカンが手元に戻るので問題ありません。あなたは最初に売ることで得た100円と、ミカンを返すのに費やした50円を差し引いて50円の利益となります。

 

そのミカンの価格が上昇し、150円となりました。あなたは150円でミカンを買います。そして150円で買ったミカンを返します。貸した方はミカンが手元に戻るので問題ありません。あなたは最初に売ることで100円を得ましたが、ミカンを返すのに150円支払ったので50円の損失となります。

 

株式投資は銘柄を売買します。買う時は銘柄を安く買って高く売ることで利益となります。

 

売る時は借りて売り、安くなったところで買い戻して差額を利益とします。買い戻すとは、借りたものを買って戻すという意味です。

 

信用取引は証券会社からお金や株式を借ります。何を得て何を返すかをこの売買の基本にあてはめれば、信用取引の決済方法もそれほど難しくありません。

 

この記事はそういった売買の基本を視点に置きながら信用取引の決済方法について解説していきます。

 

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信用取引って何?メリットは?

信用取引自体については『審査で落ちる?信用取引の口座開設条件と審査基準』で以下のように解説しています。

 

「自分を信用してもらって自分が持っている資金以上に株式投資を行うこと」であり、メリットは3つあって

  • 「持っているお金以上の取引が出来る」
  • 「株価下落時にも利益を出せる」
  • 「株主優待をお得に手に入れられる」

が挙げられます。

 

つまり、自分の資金力以上のお金を動かして取引出来、売りから入ることも出来る(空売り)というわけですね。

 

株主優待は現物取引の買いと信用取引の売りを組み合わせることによって損益を不変にすることにより、その間の値動きに縛られず株主優待を受け続けられるという付随的なメリットであって、信用取引はやはり大きな資金で買いも売りも出来るというのが大きな特徴となります。

 

決済方法を見る視点

ところで、「大きな資金力」というのはどうやって手に入れるのでしょうか?これは「証券会社からお金を借りる」ことで実現します。

 

では「空売り」はどうやって行うのでしょうか?これは「証券会社から株式を借りる」ことで実現します。売るものがなければ何も始まりませんものね。

 

もうお分かりかと思います……どちらにしたって、「証券会社から借りている」ことになるのですね。

 

そして借りているのですから必ず返さなければなりません。現物取引では買っているものは売却します。

 

信用取引においては買いで入る場合だけでなく売りで入る場合もあります。

 

信用取引の決済方法には、買いで入った場合は反対売買か現引、売りで入った場合は反対売買か現渡から選ぶことになっていますが、これらの決済方法を見ていく上では「何を返すのか?」に着眼すればそれほど難しくはありません。

 

以下、その視点で決済方法についてみていきたいと思います。

 

信用買いの返済方法 — 反対売買

現物買いの時は売却することでクローズします。安く買って高く売る、これで終わるのでしたね?!

 

信用買いも同じです。安く買って高く売る。多くのお金を投じて買っていますから、利益はその分大きいです(損失も同じです)。

 

売却金額から買付金額を引いたものが損益となります。

※ 反対売買とは、買っている時は売り(売却)を指し、売っている時は買い(買い戻し)を指します。

 

信用買いの返済方法 — 現引

信用買いは証券会社から株式を借りているわけではありません。お金を借りているのであって、そのお金を返すことで証券会社は満足します。

 

買付金額を証券会社に支払うことで、買い付けた銘柄を手元に残します(この場合は現物株の保有となります)。

 

これを現引(げんびき)と言います。現引は品受(しなうけ)とも言います。

 

信用売りの返済方法 — 反対売買

売ったものを買い戻すことによって決済する方法です。

 

売った時より株価が下落していれば利益になり、株価が上がっていれば損失となります。売却金額から買い戻し金額を引いた額が損益になるのですね。

 

※ 反対売買とは、買っている時は売り(売却)を指し、売っている時は買い(買い戻し)を指します。

 

信用売りの返済方法 — 現私

信用売りは証券会社から株式を借りています。つまりそれと同じ現物株を持っていれば、それを返すことで証券会社は満足します。

 

売っているものと同じ銘柄の現物株を持っている場合に、その現物株を差し出すことで返済するこの決済方法を現渡(げんわたし)と言います。現渡は品渡(しなわたし)とも言います。

 

保有している現物株で返済することで売却時の金額を受け取ることが出来ます。

 

まとめ

いかがでしたか?「信用取引だから」とか「売りから入る」からといって、決済方法が難しいというわけではなかったでしょう?

 

買いで入った場合は「安く買って高く売る」ことが出来れば利益になります。売りは買いの反対ですから「高く売って安く買う(買い戻す)」ことが出来れば利益になります。

 

他にも、買いで入った場合はお金を借りているのですからそのお金を返せば済む。売りで入った場合は株式を借りているのですからその株式を返せば済む。

 

これだけのことなのです。信用取引の決済方法について、きっとあなたもすんなり頭に入ったことでしょう。

 

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