IPOが株式投資の初心者であってもなくても、そのリスクの少なさから「投資する価値のある銘柄」だということは『リスクが低い!?話題の新規公開株(IPO)ってなに?』でお分かり頂けたと思います。
ではIPOがそういう銘柄だと分かったとして、実際どうやってIPOを買い、実利を得ていくのでしょうか?IPOがこれから上場しようとする企業の銘柄である以上、証券会社にログインして「この銘柄だ」と選べるはずもありません。
この記事では、IPOの実際を見ていきながら「どうやってIPOを買うのか?」について答えていきたいと思います。
それではいってみましょう!
IPOの実際
『リスクが低い!?話題の新規公開株(IPO)ってなに?』では、IPOについて、その意味とメリットを説明しました。公募価格が安めに設定され、リスクが少ないということを解説したのですね。
そもそも論として、株式を自由に売買出来るようにすることを「株式公開」と言います。株式会社はその名前の通り株式を保有しています。
もしあなたが株式会社を設立するなら、必ず株式を保有することになります。そしてあなたが私にその保有株式を自由に売買出来るようにしたならば、それは「株式公開」となるわけです。
同じ株式公開でも、「証券取引所にて自由に売買出来るようにする」ことを「上場」と言います。
あなたが既に投資家なら、株式投資は証券取引所を通じて行いますよね?あなたがこれから株式投資をしようとするなら、証券取引所を通じて株の売買を行い、利益を得ていくことになります。
実際には私達と証券取引所との間には証券会社があり、私達は証券会社に売買指示を出し、それを受けた証券会社がその指示を証券取引所に伝えることによって株式の売買は成り立っています。
IPOが「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」の略であり「最初の公開売り物(売り出し)」という意味である以上、IPOは「未上場だった会社が新しく株式を上場して証券取引所で自由に売買出来るようにする」ことであって、再上場はIPOではありません。
このIPOについてもう少し掘り下げることによって、新規公開株をどのように購入していくかを見ていくことにしましょう。
なお、ここでは『知らないと損!新規公開株(IPO)の当選確率を上げるコツ』にて触れているように「裁量配分」は書かず、抽選(配分)においては主流となっているブックビルディング方式を説明します(また、何故ここで裁量配分に触れていないかということも『知らないと損!新規公開株(IPO)の当選確率を上げるコツ』を見ればお分かり頂けると思います)。
上場先である証券取引所には様々な基準があって、一定の基準と審査に合格した企業が上場出来るようになっています。上場することが認められることを「IPO承認」と言います。
上場する企業は証券会社に株式の売り出しを委託するのですから、証券会社は企業の財務状況や将来性から株式の公募価格(売り出し価格)を決めていきます。
ブックビルディング方式では大体以下の順序のようになっています。
証券会社は「仮条件決定」というプロセスで、IPOによって新規上場される企業の株価を決めます。「株価は○○○円から□□□円です」という感じで決まります。
その仮条件に対して「私は株価△△△円で×××株申し込みます」と抽選参加の意思表示を証券会社に対して行います。人気がある場合は上限価格で申し込まれることが多いです。
ここで、最も多かった株価が公募価格として決定されます。
そして公募価格で応募した人の中から抽選によって「この公募価格で購入出来る人」を選出します(抽選内容は証券会社によって変わります)。
わたしたちがIPO購入で行うこと
ブックビルディングは「需要申告」とも呼ばれます。IPOを購入したい時、仮条件に基づいて希望株価と購入株数を申告します。この申告こそが、IPOを購入するに際して購入希望者が行う「作業」となります。仮条件がXXX円からYYY円だった場合、人気のあるIPOだと上限での申告が殺到しますのでYYY円で申し込みましょう。
というのも、人気のあるIPOは必然的にYYY円が公募価格になることが多く、公募価格と違う希望株価を申告した場合は「その時点で抽選から外れる」からです。
購入希望者の申告を募ったあと、公募価格が決定し、自分が申告した株価と一致しているなら抽選対象になります。当落の結果はご自身の証券会社の(ログイン後の)画面などで分かるようになっています。
当選したら……
当選したら、「購入する」か「辞退する」かを選びます(指定期間内に購入しなかった場合は自動的に辞退したものとされます)。
「取り敢えず応募しておこう」ということを避けるために、ブックビルディングの時点では申告した株価と株数に応じたお金が必要となる場合が多いです(例えばブックビルディング相当額の「最大買付可能額」があることが条件となっているなど)。そして当選した時に「購入する」を選んではじめて、実際にその公募価格でIPOを取得したことになります。
ブックビルディングで費やした(あるいは拘束された)お金は落選した場合はもちろん戻って来ますし、当選したとしても辞退すれば戻って来ます。
まとめ
例えば旬の魚のせりを考えてみましょう。当然高く買ってくれるのが一番良いですよね?
かといって無尽蔵に買付価格を設定出来るなら上限はなく「一番高値を付けた人の勝ち」になってしまいます。1品を競り合うオークションではないのですね。
この価格からこの価格で決めてという前提条件があり(仮決定)、その中で値段を決めて下さいねというわけです。
でもどうしても欲しいものなら最初から上限が決まっている以上、一番高い値段での申し込みが殺到することは想像に難くないと思います。
こうやってブックビルディングを経て価格が決定され、それが公募価格となるのです。公募価格はブックビルディングで一番申告の多かった価格です。
上限の価格で申告しても、中には「そんな高値にする価値あるの?」という場合もあれば「(価値があったとしても)その値段は手が出せない」となっては「価格は需給関係で決まる」とは言えませんよね?だから仮決定での高値が常に公募価格になるとは言えません。
ですが一般論では、人気のあるものであった場合は上限価格が公募価格になります。「この値段で」と公募価格が決まった以上、その値段で買うという人以外を抽選対象にしても意味がないですよね(というより不公平です)?
だから抽選は公募価格で申告した人を対象に行われます。そして当選した人は実際に購入することによって売却出来るようになるのです。
『知らないと損!新規公開株(IPO)の当選確率を上げるコツ』ではこの当選確率を上げるコツを書いています。あなたがIPO購入に興味をお持ちなら、この記事と合わせて是非頭の中に入れておいて下さいね。