株式投資をする上で権利確定日や権利落ち日について理解する事は非常に重要です。それは、株式を買っても配当や株主優待を受け取れない可能性があるからです。
預金や債券・投資信託には詳しい人でも、株式独自の仕組みとなっておりますので、理解を深めてから株式投資を初めて頂ければと思います。
配当や株主優待は1日だけ株式を保有していればもらえる
預金や債券は、お金を貸している期間に応じて利子を受け取る事ができるので、10日貸し付ければ10日分の利子を受け取る事ができます。
投資信託はファンドが分散投資して得ている利子・配当金や譲渡損益は、日々評価額に反映されていますので、いつ売却をしても損をする事や得をするという事はありません。分配金を受け取ると分配金分の評価額が下がりますので、分配金を受け取ったから得だとか分配金を受け取っていないから損をしている訳ではありません。
しかし株式は他の投資とは大きく違い、1日だけ株式を保有していれば、配当金や株主優待を受けることができます。その1日を権利確定日といいます。債券であれば年率○%と定めてお金を借りている為、売買した際に売却した人が得られる利子は既に決まっています。
しかし、株式は企業が利益を得た時に株主にその利益を還元するという性質な為、売買した際に配当の一部を分配するという事は不可能です。また1株ずつ保有日数に応じて配当金を分配するというのは非常に手間が掛かり、経済的損失が大きすぎる為、権利確定日に株式を保有している人が配当金を受け取れる様になっているのです。
権利確定日に株式を購入しても配当は貰えない
配当や株主優待を受け取るには権利確定日に株式を保有している必要がありますが、権利確定日に株式を購入しても権利確定日に株式を保有していた事にはなりません。それは、証券会社を通じて購入した場合、約定日から株式の受け渡しまでに4営業日掛かるからです。
受け渡しされる日を受渡日といいますが、この受渡日になって初めて株式を保有しているという事になります。逆に株式を売却した時も、この約定日から受渡日まで4営業日掛かり、受渡日に株式を手放した事になります。
つまり権利確定日に株式を保有しているには、権利確定日の3営業日前までに株式を購入している必要があるのです。この権利確定日から3営業日前の日を権利付き最終日と言います。
4営業日と3営業日前の言葉には注意が必要
非常に間違える人が多いですが、4営業日というとその日の営業日も含み数えます。例えば28日月曜日が約定日であり、4営業日掛かると、28日29日30日31日と4つ数え、31日木曜日が受渡日となります。
逆に3営業日前はその当日の営業日を含めず数えます。31日木曜日の3営業日前であれば、30日29日28日と数え28日が3営業日前という事になります。
3月末である31日木曜日が配当金と株主優待の権利確定日であれば、それから3営業日前の28日月曜日には株式を購入する必要があります。土日は証券会社の営業日ではありませんので、土日を挟む場合はその日数は数えません。例えば31日が火曜日であり、その3営業日前は26日木曜日です。
この様に、その年の曜日によって権利付き最終日は異なりますので注意が必要です。
権利落ち日には売却をして大丈夫な理由
権利付き最終日の翌営業日を権利落ち日と呼びます。この権利落ち日は権利確定日の2営業日前でもありますが、この日には株式を売却しても配当や株主優待を受けることができます。それは権利落ち日に株式売却を注文しても、受け渡しには4営業日掛かり、それは権利確定日の翌営業日であるからです。
この為、権利確定日の3営業日前に株式購入注文をし、権利確定日の2営業日前に株式売却注文をすれば、最短1日株式を保有しているだけで、配当や株主優待を受けることができます。