NISA口座は「一人一口座」であることは『1人1口座?NISA口座は複数の金融機関で作れる?』で詳述しました。そして「NISA口座を変更出来る」ということも触れました。
当初は変更するにも「期間の縛り」がありました。NISAの制度は2023年まで続きますが、この10年間を14~17年・18~21年・22~23年と3つの期間に分け、「それぞれの期間で1つの金融機関でしか開設出来ない」ということにしていたのです。
14年(18年)に開設したら、18年(22年)まで変えられなかったのです。2015年からは1年毎に変更出来るようになっています。
ではNISA口座を別の金融機関に変更したい時、どのようにすれば良いのでしょうか?
この記事ではNISA口座の変更を検討しているあなたに、変更前に頭に入れておいてもらいたいことを前置きして実際の変更手順を書いていきたいと思います。
大事なことを前置きします
NISA口座は毎年変更出来ます。
一度閉鎖したNISA口座も(閉鎖した)次の年には再び開設出来るようになっています。ある年にNISA口座で取引していて、翌年に別の金融機関でNISA口座を開き直した時の扱いはどうなるでしょうか?
2015年にA証券で80万円をX銘柄購入で既に使っていたとします。2016年にB証券に変更したとします。
A証券での枠は20万円残っていますが、それをB証券の枠に「追加することは出来ません」。
X銘柄をB証券でのNISA口座に「移管することは出来ません」。
X銘柄は2016年以降も「非課税として扱えます」が、A証券は「保有か売却専用になり、A証券のNISA口座で新たに買うことは出来ません」。
X銘柄はNISAの恩恵を受けたいのであれば「保有し続けるか売却するかしか出来なくなります」。
ロールオーバー(『NISA非課税期間を延長するロールオーバーとは?デメリットも』で解説しています)は「同一金融機関(証券会社)内でのみ有効」であって、B証券へ移管出来ない以上、「X銘柄はロールオーバーすることが出来なくなります」。
変更する年に既にNISA口座で枠を使っていた場合は「その年ではもう変更が出来ません」。案外見落としがちなのが投資信託の再投資です。
この場合も非課税枠を利用してしまうからです。自分では何も買っていないと思っていても実は非課税枠が利用されていたということも起こり得ます。その場合もうその年は変更出来ません。
変更前の金融機関、変更前に保有していた商品にかなりの制限が付けられます。
このようなことをきちんと理解した上で変更をして下さいね。
変更手続き
以下の手順となります。
- 「金融商品取引業者等変更届出書」を、今NISA口座を利用している金融機関へ請求します。
- 利用している金融機関から「非課税管理勘定廃止通知書」が送られて来ます。
- 変更したい金融機関へ「非課税口座開設届出書」・「本人確認書類」・「非課税管理勘定廃止通知書」を提出します。
- 変更したい金融機関で審査、税務署での本人確認等が行われます。
- 問題無ければ変更したい金融機関でNISA口座が開設されます。
手続きには3~4週間程度かかります。その間はNISA口座で投資することは出来ません。必要書類はそれほど多くなく、記入項目も複雑というわけではありませんが、非課税にするという関係上審査や本人確認などで時間が掛かります。
申請はいつでも出来るというわけではありません。変更したい年の前年10月1日から9月30日までに手続きをする必要があります。
まとめ
変更によるデメリットを甘受して変更しようと思っても、変更したい年に一度でも枠を使ったらその年はもう変更出来なくなります。上記投資信託の再投資の場合は「収益分配金再投資の停止」・「投信自動積立の中止」などの手続きをしておく必要があります。
変更は変更前のNISA枠にも影響が出ます。変更前に保有していた銘柄は、非課税というメリットを受けたければ保有し続けるか売却かの道しかなく(しかもロールオーバー出来ません)変更先へ移管出来ません。
もし変更先の金融機関があなたの望んだものでなかったら、来年また変更することは出来ても購入した商品は制限を受け続けるのです。
「株式投資がしたいけど自分のNISA口座は銀行」・「手数料の高い証券会社で開設した」・「自分が欲しい銘柄ない証券会社で開設した」など色々あると思いますが、金融機関選びは慎重に行って下さいね。