株式投資で成功するには、先ずお金についての理解を深めなくてはなりません。何が成功で失敗かを明確にしないと、フィードバックをして今後のさらなる株式投資での成功に結びつかないからです。
人それぞれ株式投資をする目的は違いますが、その目的を明確にして投資をしている人は10年間株式投資をしている人でも少なく感じます。目的を明確にする為に私達の一番身近な円預金と現金について考えてみましょう。
円の価値は1秒1秒変わっている!
円預金のリスクを考えた事がある人は少ないと思います。
銀行で説明があるとしてもペイオフ(銀行が破綻した場合、1金融機関1預金者あたり元本1000万円とその利息が保護され、保護を超える預金は銀行の財産の状況により分配される。)についてだけだと思います。
元本1000万円を超える預金は他の銀行に振り分ければ預金保護はされますが、銀行は額面保証(○○円という数字を保証)だけで、資産の価値自体は保証してくれないという事に気をつけなければなりません。同じ1000万円でもそのお金で買うことができる物の数は日々刻々と変わっているのです。
この資産の価値という理解を深めるために為替相場について考えてみましょう。
為替相場は1秒1秒変化しています。ニュースの最後などによく流れる1ドル120円などというものです。これが1ドル121円になれば、1ドルは120円で交換できたのが121円ないと交換できなくなったので円の価値が安くなり円安になった事になります。
食料自給率が低く資源もほとんど海外に頼っている日本は、物の値段を決める上で為替相場は切っても切れない存在です。通貨だけでなく、金(キン)や原油価格などありとあらゆる物が日々刻々と値段が変わっています。
実感が湧きやすい代表例としてガソリンスタンドがあります。毎日1リッターあたりの値段は変わっています。原油価格や為替相場により大きく変化しています。ガソリンの価格が変われば日本で作っている米の価格も運送費を考えると変えなければなりません。つまりどのような商品でも少なからず為替相場の影響を受けているのです。
預貯金と現金はハイリスク・ハイリターン!
2012年10月には1ドル70円代だったのもが2015年12月上旬には122円を上回っています。1ドル80円から1ドル120円でも、円の価値は3分の1も減少してしまっています。
およそ3年でこれだけの変化があるという意味を十分理解したうえで預貯金や現金だけで資産を持っている人はどれだけいるでしょうか。
円預金だけで資産を持つほどハイリスク・ハイリターンな運用は他にはありません。
アメリカ人が日本円だけで資産を持っていたらどう思いますか。日本への一括投資で、円高になれば大きく資産は増えますが、円安になれば大きな損をしてしまいます。それは日本に住む日本人でも同じ事です。
相互に依存しあっている世界経済では、一つの国の通貨しか持っていないという事は、一国の通貨に一括投資しているという事に他なりません。リスクを小さくしたいのであれば、外貨も分散して持つ必要性があります。
株式投資でリスク分散!
株式投資をする際にもこの考え方は必要になってきます。
株式投資に余裕資産の全てを充てても円自体の価値が下がってしまった場合、株式で10%の利益を上げても物価が10%上がっていれば、物を買える数量は変わりません。
もちろんこの場合預金や現金で持っていれば額面は変わりませんが、物を買える数量としては約10%損してしまいます。国内株式でも円安になれば株価が上がる会社や、逆に円高になれば株価が上がる会社もあります。
つまり、株式投資をする際には額面を増やすという目的はもちろんですが、
- 円預金より額面を安定的に増やせればよいのか
- 実質的な資産の価値を安定的に増やせればよいのか
- ハイリスクで額面のハイリターンを狙うか
- ハイリスクで実質的な資産のハイリターンを狙うか
それぞれの人の目的・目標によって、資産全体に対する預貯金・現金比率、株式比率、保険比率・債券比率を決めていく必要があります。
長期的に必要となる資産を蓄えるための株式投資でしたら、額面だけ増えても10年後には円自体の価値が大幅に無くなっている可能性もありますので、円安になれば株価が上がる会社に多く投資するか、株式の他に外貨建ての債券や保険を持つようにしましょう。