一年で100万円の投資額までは上場株式・投資信託から生じる分配金や配当金、譲渡益などが非課税になるNISA……魅力的ですよね?
ですがNISAには様々な「縛り」があります。損益通算や繰越が出来ない、使っていない非課税枠を繰り越し出来ない、こういった運用面での縛りもありますが、実はそれ以前に「NISA口座を開設する時点での縛り」もあるのです!
他の課税口座に移管した時も「縛り」があります。
こういった運用や出口での縛りだけでなく、開設時の縛り、つまり入り口での縛りを今から5つの注意点を提示しながら解説し、それが結果的に運用への足かせにもなることを理解して頂けたら思います。
NISA運用で失敗しないための5つの注意点
1.一人一口座
NISAの対象となるのは「一人一口座」です。
NISA口座では、10年に渡って、100万円の非課税枠を毎年1つずつ設定出来ます。1つの枠の非課税期間は5年間ですから全てを活用させれば14年間使えるという計算になりますね。
そんな長い期間利用するのですから、一人一口座である以上、その選定はきちんと考えないといけません。
『NISA口座の選び方!これから開設する人におすすめの金融機関とは』で説明しましたが、NISA口座は証券会社だけでなく投資信託会社や銀行などでも開設出来ます。どこで開設しようと、「一人一口座」です。
証券会社・投資信託会社・銀行で取り扱う商品は異なります。
上場株式は証券会社でしか売買出来ません。『NISA口座の選び方!これから開設する人におすすめの金融機関とは』で証券会社に絞ったのはこのような理由があるからです。
こういう理由から、あなたが株式投資を一切せず、例えば投資信託で財テクをしたいということでしたら証券会社でなくても構いません。しかしその際も、商品の中身はそれぞれです。
そして「100万円まで」というのはNISAの大前提として存在します。株式投資をする場合にどんな銘柄をどのような取引間隔で購入していくかきちんと考えないといけないのと同じで、多種多様な投資信託をどのように活かしていくかは慎重に選ぶ必要があります。
上場株式であればどこの証券会社であっても株価は同じですが投資信託は商品自体が提供会社によって変わってゆくのできちんとそれを把握した上での判断が必要となります。
2.口座変更はとても難しいですよ!
NISAは2014年~2023年までの10年間です。
今までは、この期間を14~17年・18~21年・22~23年と3つの期間に分け、「それぞれの期間で1つの金融機関でしか開設出来ない」ことになっていました。14年(18年)に開設したら、18年(22年)まで変えられなかったのです。
2015年からは「毎年変更出来る」のですが、それにしたって年単位です。
もしあなたがどこかの銀行のNISA口座を開設して引っ越しになった時、引っ越し先でその銀行の支店がなかったら、……後はお分かりですよね?
冒頭でも書きましたが最初の時点でどこを選ぶかが重要になって来るのです。株式投資で言えば取引額や取引頻度も重要ですが、こういうライフスタイルも重要なのです(ネット証券会社はどこにいてもログイン出来るのでこの点は融通が効きますね!)。
3.あなたは個人ですか?20歳以上ですか?
NISA口座は個人で申し込まなければなりません。あなたが投資をたくさん勉強して、それなりに稼ぐことが出来るようになった時、「法人でやれないかな?そしてその法人でNISAを使えないかな?」と思ったなら、それは「出来ません」。個人でないとNISA口座は開設出来ないのです。
20歳以上ですか?『未成年・無職・学生でも証券口座開設はできる?』で未成年・無職・学生の方が証券口座開設が出来るかということを解説しましたが、NISA口座は「20歳以上」でないとそもそも口座を開設出来ません!だから「未成年・無職・学生の方がNISA口座を開設出来る?」と問われたら、少なくとも「未成年」は「無理」となります。
4.住民票が必要ですよ!
NISA口座開設には住民票が必要となります。住民票を用意すること自体は難しくはありませんが、「それは困る」とか「それは嫌だ」ということであればNISA口座は開設出来ません。
余談ですが、住民票があれば開設出来るので、外国の方でも住民票があれば開設出来ます。国籍は条件ではありません。
5.目的は何ですか?
あなたが株式投資での節税目的でNISAをお考えなら、銀行でのNISA口座開設は必ず後悔する結末を迎えます。何故なら、銀行では株式は購入出来ないからです。
最初は株式投資を考えていなくて、でも途中で株式投資をしたくなり、節税効果を狙ってNISAを……ということになれば、口座変更の縛りが出て来てすぐには株式投資を出来ません。
目的をきちんと考慮しておきましょう。
まとめ
NISAの開設条件(年齢・住民票・一人一口座・変更の困難さ)だけではなく、目的によっても選ぶ会社は変わります。そしてその会社の商品にも口座選びは影響するでしょう。
多彩な商品が目白押しで、色々な保険のセールスと同じように「沢山利点があるけどいまいち掴み切れない」・「デメリットは何?」と疑問が残るようなら、後悔する羽目になるかも知れません。
どんな商品があるか、その商品の中で更にどんなものがあるか……きちんと分からなければきっと後悔します。
「分からない内はNISA口座を開設しない」というのもひとつの手です。目の前のキャンペーンの果実に目を奪われず、結果的に後悔しないようにじっくり、そして慎重に検討して下さいね。