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株式投資の必要経費はどこまで認められる?

株式投資に限らず、日常の世界には色々なものが「必要経費」として捉えられています。税制面でも必要経費という概念は当然あって、その必要経費を差し引いて税金自体を少なくすることが出来ます。

 

株式投資による利益は課税対象だということを

で解説して来ました。

 

では、この課税対象である「株式投資による利益」に「必要経費」は計上されるのでしょうか?されるとしてどこまで認められるのでしょうか?

 

この記事ではこういったことをテーマにして書いていきたいと思います。

 

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考え方の基本

そもそも株の売却によって得た利益というのは殆どが「譲渡所得」です。

 

譲渡所得については所得税法第33条にて規定されていて、

 

3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、……

出典:所得税法

 

となっています。

 

「当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額」を控除する旨が書かれてあり、これを見れば必要経費と言えるのは「取得費」・「その資産の譲渡に要した費用」であって、取得費は株の取得費用(これは売却益からは既に引かれています)、譲渡に要した費用とはせいぜい証券会社の手数料(と例えば出金に必要な口座間の手数料)くらいであり、そもそも「その収入を得るために要した費用(つまり必要経費)」は本来的には引けないのです。

 

あなたがどれだけ頑張って勉強して利益を得ても、その勉強に必要となった費用などは取得費そのものではないので条文解釈すれば必要経費というのは株式取引においては計上されないのです。

 

事業所得とすれば計上出来るかも知れません。ですがその場合、あなたが事業としてトレードをしなくてはならなくなります(専業ということですね)。これはサラリーマンには無理なことだと思います。

 

また、この譲渡所得は、株式投資で言えば、「その会社を(「株式」会社としての企業の資金に、ということで)応援しているのではなく、安い時に買って高くなって売りさばく」という値ザヤ目的で得たものとして捉えられています。

 

そう、「はじめから値ザヤ目的で安く仕入れて売りさばく」という、事業とはかけ離れた儲けだから必要経費を論じるのは親しまないということなのです。

 

ギャンブルに必要経費もくそもなく、そのための必要経費を考えるまでもないというのが国の考え方なのですね。

 

実情はどうなの?

必要経費として計上したいものとして、

 

  • 株関連書籍
  • 取引で使うために購入したパソコン
  • 通信費や細かい文具代など

 

が挙げられるでしょうが、上記「考え方の基本」からすれば、「どれも必要経費ではない」と解釈され、認められません。

 

そもそも取得に関わるものは株の購入代金ぐらいであって、事業としてやるなら別、こういったものは認められないのです(認められたとしても、書籍ならまだしも、そのパソコンは取引専用なのか、通信費はオンライン取引のためだけに必要な金額なのかと聞かれれば「No」ですよね?)。

 

税金を徴収する側からすれば、株式売買を事業としているのならまだしも、本業以外で副収入として株式投資をする場合は「丁半博打で儲けた利益に過ぎない」という考え方なのです。

 

サラリーマンの場合、仮に書籍をたくさん買って寝る間を惜しんで猛勉強しても、「仕事の合間に上がるか下がるかを見て上がる方に賭けて得たお金でしょう?」としか思われないのです。

 

ただ、税制改正に伴い、法令に対する国の解釈が示されました(措置法第37の10《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》関係|譲渡・山林所得関係目次|国税庁)。 

 

ここでは、

 

実質基準を原則としつつも、次のとおり取り扱って差し支えないこととしている。

①所有期間1年超の上場株式等及び非上場株式等の譲渡による所得は、譲渡所得とする。

②信用取引等の方法による上場株式等の譲渡など所有期間1年以下の上場株式等の譲渡による所得は、事業所得又は雑所得とする。

出典:www.nta.go.jp/

 

とされています。

 

「事業所得又は雑所得」となった場合、「譲渡所得」とは違います。譲ってもらって得た利益としての「譲渡所得」ではなく、事業としての所得あるいは本業とは違うけどそれなりの所得としてみなされるのです。

 

実際FXや日経225先物などは確定申告の時に「先物取引に係る雑所得等」という欄があって、そこに経費などを記入出来るのです(事業所得や雑所得の場合は必要経費が認められます)。

 

そこに通信費や書籍費用、セミナーなどの勉強に必要な経費を書き込んで申告します。

 

この欄に一年分の通信費(取引の時にだけ費やした経費ではなく一年間の全ての金額)を入れても何も税務署から確認されなかったという人もいます。

 

株式投資を必要経費と認めて欲しいあなたは……

所得税は申告納税制度です。

 

納税者の法令解釈に基づいて申告するのは納税者の権利です。

 

だから、上記法解釈の「①所有期間1年超の上場株式等及び非上場株式等の譲渡による所得は、譲渡所得とする」ということなので無理だとしても「信用取引等の方法による上場株式等の譲渡など所有期間1年以下の上場株式等の譲渡による所得は、事業所得又は雑所得とする」ということなので「これは事業所得又は雑所得だ」と主張することは出来ます。

 

権利である以上は国(税務署)が「あなたの提出した申告書は間違ってますよ」と明確に示すことが出来ない限り申告書は有効であり、交渉を通じて自分の申告の正当性を示すことは可能なのです。

 

ネットなどで検索すれば、色々な人が税務署の職員さんと問答を繰り返したことで申告が受理されたという事例を見ることが出来ます。勿論交渉力は必要ですが……。

 

あなたが本当にこれでいけると確信し、その根拠をきちんと示せるように理論武装して、通らなかったら修正申告する用意もあるという状況でしたら、必要経費だとして申告することは出来ます。

 

まとめ

特定口座源泉徴収ありの場合はそもそも確定申告すら不要です(勿論申告することは出来ます)。だから必要経費云々という問題は起きません。

 

確かに大きく儲けられたら必要経費なんて微々たるものです。でも負けてしまったらその経費さえ大きいです。丁半博打と言われようが、マイナスは自分の懐に直結します。

 

「たまたま勝てたんだよ」と言われたとしても、それならそれで自分へのご褒美です。「何もしなくてももらえた」わけではなく、身銭を投じて得たお金です。

 

それなのに、そういう感覚で捉え、負けた時は何も補てんしないくせに勝てたら徴収する、(株式投資とは離れますが政策として)「自分たちが身を削る努力はしないのにお金が多く集まるところからは取り敢えず巻き上げる」というところが『移住した方が得!?株式投資の税金が安い国はどこ?』で書いた「課税するなんておかしい!」という声を生んでいるのです。

 

だとしても自分が住んでいる国の法律には従わなければいけません。従いたくないと思ったり実際に従わないのは自由ですが、その時はこの『税務署にばれる!株で儲けたのに無申告で脱税した投資家の例』にあるようにペナルティを課せられます。

 

基本的な考え方と実情を理解した上で、正しく対処しましょうね。

 

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