この記事の本題に入る前に、とても大事なことをひとつ……「常勝は決してない!」ということです。あなたが株式投資をする時、勝率10割なんて決してありません!
「そんなこと分かってるよ!」と叱られそうですが、誰もが頭の中と実際とでは同じ行動原理で動けないのも事実なのです。勝ちにこだわり過ぎてたったの一敗すらしたくないがために結果大損なんて目も当てられないでしょう?
負けることを恐れないで下さい。損切り上手がものをいう世界です。
前置きが長くなってしまったかも知れませんね(でもとても大事なことなので何度でも言いたいです!)。
この記事の本題は、その前提に立って、「その損失を有効活用しよう!」というスタンスで書いています。失敗を恐れない勇敢なあなたにとって、その名誉ある、潔い損失を上手く役立てる方法を紹介します。
損益通算って何?
損益通算とは一年間(1月~12月)の取引成績に対して利益と損失を合計して最終的に利益が出たのか損失になったのかを算出することです。
税金は、「年間で見て利益が出た場合に、それが20万円を超えた場合は課税する」ということを『一般口座と特定口座の違いってなに?それぞれのメリット』・『株は「売却益」や「配当金」に対して何%の税金がかかる?』・『知らないと危険!株式投資の売買にかかる税金の払い方』で説明して来ました。損益を個々の取引毎で見るのではなく一年間という期間で「通算」するのですね。
ここで注意しておきたいことは、特定口座源泉徴収ありの場合、一方の証券会社で損失が出ていて他方の証券会社で利益がある場合は自動的に(損益がプラスの証券会社の方では)税金が引かれてしまいます(同一証券会社内では自動処理してくれます)。
『一般口座と特定口座の違いってなに?それぞれのメリット』・『知らないと危険!株式投資の売買にかかる税金の払い方』で解説していますが、特定口座源泉徴収なしの部分がこの事例では優れているとは言えます。損失がある証券会社と利益がある証券会社からの年間取引報告書を受け取って、それを通算させる形で自分で確定申告出来るからです。
一般口座の場合は年間取引報告書を自分で作らないといけませんからはじめから相殺出来るしそうすべきですが、年間取引報告書を自分で作るという面倒さがあります。
譲渡損失の繰越って何?
損益通算をしてもマイナスが残っている場合に利用出来るのがこの譲渡損失の繰越です。その年のマイナス分を向こう3年の利益と相殺出来るというものです。
損益通算が一年間の損益の計算なら、この譲渡損失の繰り越しというのは、その年のマイナスを向こう3年の利益と通算して相殺出来るというわけですね!
これは確定申告しないとダメです。マイナスとして確定申告することで、来年以降の確定申告もそのマイナスを来年以降の利益と相殺させて申告出来るというわけです。
だからそもそも年間利益が20万を超えていなくてもそれがマイナスなら確定申告しましょうということを言い続けているのですね。
二つを組み合わせて節税する
税金は利益に対して一定割合の金額で計上されます。当然のことながら、その「利益」が少なければ少ないほど課税額は少なくて済むようになるのですね!
ならば、一年間の利益を計算する時に、全ての利益からすべての損失を引いた方が良く(損益通算)、過去三年間マイナスがあるのならその分も相殺させる(繰越)方が当然支払い額は減るでしょう?
この二つを組み合わせることで、マイナス分を計上しない額より支払額が減るのですから当然節税効果があるわけです。
そして場合によっては納めた税金が返って来ることもあるわけです。お得じゃないですか?
まとめ
こういった制度を利用して納税上の優遇を受けるには、確定申告をしなければいけません。証券会社は年間取引報告書は出してくれても、例えば返って来る見込みがある場合はその還付手続きまではやってくれないのです。そして繰り越したくても「繰り越すことによって差し引く損失」さえも認めてくれないのです。
このような優遇を受けたい場合は面倒であってもきちんと申告しましょうね!良く分からない時は最寄りの税務署に行って聞けば良いのですから。
あなたの勇気ある損切りがその年以降の申告で「無駄」にならないことを祈っています。