株式投資の歴史を知る事で、株式とはそもそもどの様なものかについての理解を深める事ができます。どの様にして株式投資は始まり、どの様に現在の株式投資の形態になったのかを解説していきます。
株式会社の始まり
株式会社の始まりは16世紀から17世紀の大航海時代まで遡ります。航海には貿易での多大な利益が得られるというメリットの反面、自然の猛威や海賊などの影響により成功する確率が高くない上、船を作る資金や乗組員の給料など多大な資金が必要になるというデメリットがあります。
株式会社が出来る前は一回毎に出資者を募り、航海が終わる事に利益を分配していました。これは当座会社と呼ばれています。一回ごとに船長は出資者を集めなければならない為、資産の少ない人から少しずつ出資してもらうには手間も掛かってしまいます。そこで当初は大金持ちの商人にしか基本的に航海に出資する事はできず、成功すれば大儲け、失敗すれば大損というという状態でした。
そこで1602年に出来たのがオランダ東インド会社です。この株式会社では広く出資者を募り、複数回の航海ができる莫大な資金を集め、何度も航海した後に、得られた利益を出資者に分配するというものです。この仕組みなら航海毎に出資者を募る訳ではない為、当座会社よりも少額から出資者を募る事ができます。
また複数回の航海での利益の分配をする為、当座会社では一度失敗すれば出資金が全て無くなる可能性がありますが、株式会社では毎回失敗しなければ出資金が無くなる訳ではありませんのでリスクを分散する事ができます。
世界初の株式会社と言ってもオランダ東インド会社は商業関係だけではなく、条約の締結権や植民地の経営権・軍隊の交戦権など国政にとっての重要性から様々な権利が与えられていました。
日本での株式会社の始まり
日本での最初の会社は坂本龍馬が1865年に作った亀山社中などと言われています。亀山社中はオランダ東インド会社と同様に商業や海運を行っていましたが、株式の発行や取締役など株式会社の仕組みが整っていた訳ではありません。しかし経営と資本の分離は行われていた事から、日本での株式会社の先駆け的な会社でした。
日本初の株式会社は、日本資本主義の父と言われる渋沢栄一が、1873年に設立した第一国立銀行です。統一金融機関コード0001からも分かるように、現在のみずほ銀行が承継しています。
1878年には渋沢栄一らにより東京株式取引所の設立も行われています。これは現在の東京証券取引所の前身となる株式会社です。1878年の7月15日に東京株式取引所は日本初の上場株式として売買が開始されました。1878年9月には第一国立銀行も上場しています。
この様に1870年代には株式会社が設立され、瞬く間に市場までもが完成しました。
株式でのリスクは大幅に減少
従来、株式売買委託手数料の水準は固定されていました。つまり、どの証券会社を通じて株式を購入しても手数料は同じだという事です。サービスの質や情報の正確さ・立地等が、証券会社を選ぶ基準になっていました。
しかし、1999年には株式売買委託手数料の完全自由化により、証券会社は自由に手数料を決める事ができるようになりました。これによって証券会社同士の価格競争が激化します。手数料が安いという事はリスクを抑える事に直結する為、投資家にとっては選択する際の重要な判断基準になります。
これによって、ネット証券などが急速に発達してきます。ネット証券であれば営業拠点や営業員を必要としない為、大幅に手数料を下げる事ができる為です。非対面でのインターネットトレードは証券業界最大手の野村證券も参入するようになりました。