短期投資と長期投資では全く違った運用手法が有効になる事があります。それは狙う利益が短期投資では殆どキャピタルゲインなのに対し、長期投資になるにつれインカムゲインもプラスされるからです。
短期投資は1日から2週間、中期投資は数ヶ月から2年程度、長期投資は3年以上などと言われています。今回は分かりやすく短期は1日、長期は10年、中期はその間と定義して、それぞれどの様な投資スタイルが有効になるのかを解説していきます。
短期投資でも2種類に分けられる
短期投資では殆どキャピタルゲインを狙う事が多いですが、厳密に言えばインカムゲインも狙う事ができます。2種類に分けて短期投資の手法を考えていきます。
キャピタルゲインだけを狙う投資スタイルは投資では無く投機と呼ばれます。キャピタルゲインは値上がり益ですので、得をする金額と同額の損をする人がいます。投機は機会(チャンス)に資産を投じる事です。
例えばチャートを見てもうすぐ値上がりするだろうと考えての短期売買が代表例です。デイトレーダーなどの1日の内に株式を売買する人はこの投機で利益を挙げているという事になります。ゼロサムゲームであり他の投資家の資産が自身の利益になる訳ですから、他の投資家より優れた情報収集と解析をする能力が必要となります。
投機はゼロサムゲームですが、これも厳密に言えばそうとは言い切れません。株式であれば売買するのに証券会社に支払う手数料があります。つまり完全なゼロサムゲームであれば上がるか下がるかの2分の1の確率ですが、手数料分がマイナスになってしまいます。そこで短期売買する人は情報収集と解析をする能力の他に、手数料の安い証券会社を選ぶ事も非常に重要になってきます。
1日だけ株式を保有するだけで、インカムゲインを得られる事もできます。それは権利付最終日に株式を購入し、翌日の権利落ち日に株式を売却するといった手法です。株式は金利と違い持っていた期間に応じて利子が支払われる訳ではありません。権利確定日に株式を保有していれば良い為、短期売買でもインカムゲインを狙う事ができます。
長期投資になるほど安定して利益を得られる
投機はゼロサムゲームですが、長期投資はインカムゲインである配当を得られますので非ゼロサムゲームです。株価が下がっても配当がある分、損失を抑える事ができます。
長期になる程インカムゲインは増えていきますので、利益を挙げている期間と損失を出している期間は収束していき安定的に資産を増やす事ができます。株式の購入手数料も期間を伸ばしても最初の1回限りですので、長期になるほど費用対効果を高める事ができます。
長期投資でインカムゲインを得ても、株価が下がり続けている企業に投資しては、年数をかけても損失を出してしまう事もあります。長期投資をする際には、安定的に利益を上げ続けている企業を選ぶ必要があります。
市場でのシェアが高かったり、新規参入が難しい業種である程、比較的株価は安定しています。マザーズの様な新興市場より、東証1部の中でも日経225に選ばれている銘柄の方が長期投資には向いていると考えられます。
短期投資は難しいが、中期投資なら簡単?
投機で安定的に稼げるのは、市場原理からほんの1握りしか存在する事はできません。しかし時間をある程度かける中期投資であれば、投機と比べると簡単になります。
例えば日本は金融緩和を行っているのに対し、アメリカは金融引締を行えば、円安ドル高の方向性に市場は動きやすくなります。円安になれば輸出企業の利益は上がりやすくなり、株価も上がりやすくなります。この様に株価が上がるには時間も掛かりますが、簡単に市場の方向性を想定する事ができます。
将来的に安定している企業で、中期的に株が上がっていく局面にあり、短期的にもチャンスな相場だと考えた場合に株式を購入すれば、たとえ短期で損失を出してしまっても、中長期的に利益をあげられる可能性は高まります。