「会社は常に株価を意識している」そう思っていませんか?
しかし会社の利益と株価は、増資や減資時以外あまり関係がありません。どうして株価は増資や減資時以外あまり関係がないのかを解説させて頂き、会社側は何を目的として活動しているのかについて考察していきます。
日々変化する時価総額を気にしない理由
時価総額とは『現在の株価×株数=時価総額』です。株価とは投資家が企業を将来的に評価した場合に妥当と思われる1株当りの値段を示している為、時価総額とは実質的な資産価格ではありません。
時価総額は投資家からの評価を反映している会社の価格ですので、時価総額は直接的に会社の資産には影響を与えません。もちろん、時価総額が高ければ会社の信用度は上がり、取引等に有利になる等の間接的な影響はもっています。
増資や減資は会社の資産に影響を与える
増資や減資をすると会社の資本金は上下します。増資をした時の資本金の計算式は『増資前の資本金+現在の株価×新規発行株数=増資後の資本金』です。この式の現在の株価×新規発行株数の額だけ資本金が増加します。つまり株価は会社の資産に直接的に影響を与えます。
増資には資本金を増やし、今後の企業活動の利益増加に繋がるというメリットがありますが、発行済株式数が増える為に、1株当りが占める議決権の割合や配当の割合が減少するというデメリットがあります。
このメリットとデメリットを勘案して増資をするか減資をするかを会社は決定しています。減資のメリットは増資のデメリットの逆で、減資のデメリットは増資のメリットの逆です。
減資をするなら株安が有利?
増資にも減資にもメリット・デメリットはありますが、株高や株安を利用する事でデメリットを抑え、メリットを高める事ができます。
株高の時には増資を行う事で、株安時よりデメリットを抑えメリットを高める事ができます。株価が高い時であれば新規発行株式数を抑えつつ、目標の資本金額を集める事ができるからです。
株安の時には減資を行う事で、株高時よりデメリットを抑えメリットを高める事ができます。株価が安い時であれば安い価格で自社株買いをする事ができ、同じ金額でも多くの株数を取得できる為です。さらに、自社株買いにより株価を下支えする事もできます。
会社はキャピタルゲインよりインカムゲインを重視しやすい
会社は株主に利益を還元する為に活動しています。それは株主総会の下で取締役や社長、経営方針が決められているからです。それでは会社は株主のどのような利益の為に活動しているのでしょうか?
利益にはインカムゲインとキャピタルゲインに分けられます。株式でいうと、インカムゲインは株式を保有する事によって得られる収益である配当、キャピタルゲインは株式の値上がり益の事です。
株主総会で多数を占めるのは以下の理由からインカムゲインを狙い長期保有している人達です。
- 長期保有の人がある程度いないと会社が安定しない。
- 長期保有の人が少なければ簡単に買収できる。
- 買収が成功すれば、結果的に長期保有される。
- もしキャピタルゲイン重視の人が多数を占めている株主総会が行われても、株価をすぐに上げるという方針は困難。(株価は投資家により評価され上がるもの)
- 東証1部の会社でも、主要株主は他の法人が多い。
などの理由から、どうやって利益を上げて配当を上げるかに重点はおかれやすいのです。
まとめ
この様に、株価は増資や減資時以外あまり関係がありません。株価を上げるのも会社の目標の一つではありますが、会社は株価を上げるために活動している訳ではありません。その事を間違って認識しなければ株式投資での成功の確率を高める事ができます。