証券会社の口座を開設して取引をしてみようと考えている時、最初につまずきやすいのが「口座タイプ」です。
口座を開設する時は、「どの口座タイプで口座を開きますか?」と聞かれるのですね。そして口座タイプには特定口座と一般口座があります。更に特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」があります。
せっかく開設しようとしているのに、そしてそこから取引をしようとしているのに、この段階で「???」な展開になって億劫になるのも嫌だしもったいないですよね?
ここでは、この口座タイプについて解説し、それぞれのメリットとデメリットを紹介していきたいと思います。
そもそも一般口座と特定口座って?
株取引に関わる税金は申告分離課税です。株取引で得た利益は課税対象となります(損失は繰り越せたりするので確定申告をした方が得策です)。
特定口座は、上場株式等の譲渡益課税における個人投資家の申告・納税手続きを簡素化するために2003年1月から導入された制度で、特定口座で開設した場合は、上場株式等の譲渡をした時は証券会社が1年分の損益を取りまとめた特定口座年間取引報告書を作成して翌年の1月末までに交付します。
この「(特定口座)年間取引報告書」を基に、簡単に確定申告書類の作成が出来ます。
特定口座の「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」との違いは、「源泉徴収あり」の場合は証券会社が投資家に代わって納税してくれるので確定申告をする必要がなく(確定申告をすることも出来なくはありません)、「源泉徴収なし」の場合は(年間利益が20万円を超えた時は)自分で確定申告をすることになります。
一般口座を選んだ場合は、投資家が自分で1月1日から12月31日までの1年間の売買損益を計算して翌年の2月16日から3月15日までに(年間利益が20万円を超えた時は)確定申告をしなければいけません。
確定申告の際に、確定申告をする上で便利な「年間取引報告書」を作ってくれる特定口座(源泉徴収なし)か、更に納税まで代行してくれる特定口座(源泉徴収あり)か、全て自分で損益計算をして申告する(一般口座)かのどれかで口座開設して下さいねということです。
特定口座における源泉徴収の有無
特定口座を源泉徴収の有無で見てみます。
源泉徴収ありの場合、確定申告は不要で税金は証券会社が(あなたが)売却益を得る度に徴収します。証券会社は代理で税務署に納税してくれます。
源泉徴収なしの場合、確定申告は「年間利益が20万円を超えた場合」に必要となり、この場合は自分で確定申告をして税金を納めることになります。
源泉徴収の有無によって確定申告を自分でする必要があるかないかが分かれますが、年間取引報告書を作成してくれるので自分で行く場合でもとても有効です。
納税の実際は、「年間利益が20万円を超えた場合」が大きな分かれ目ですが、「年間の」とあるように、個々の取引ではなく年間損益を根拠にしているので、源泉徴収ありの場合は利益が出る度に税金分が先に引かれることになるので投資金額が減っていくことになります(利益確定の際に税金が引かれるのですね)。
源泉徴収なしだと売却益に税金分が引かれないので投資金額をフルに活用出来きるという面もあります。そういう意味では源泉徴収なしが投資資金の面ではやや有利です。
ですが、源泉徴収ありの場合は利益を出した分の税金は引かれても、最終的には損失を出した分と相殺されるので取られ過ぎた税金は還付されて戻って来ます。
そういう意味では源泉徴収の有無によって支払う税金に差はありません。
年間利益で20万円以上の利益が出た場合、源泉徴収ありだと証券会社が代行してくれるので確定申告の必要がなく、源泉徴収なしだと確定申告が必要になります。
節税対策
一般口座・特定口座源泉徴収あり・特定口座源泉徴収なしのいずれも、年間利益がマイナスなら確定申告をしなくても良いですが、確定申告をした場合は損失を翌年度以降に繰り越せるので得です。
株式投資の売却益は「所得」になります。ですから配偶者控除や国民健康保険の保険料などにも関係します。
源泉徴収ありの場合は、株式の譲渡益は「合計所得金額に含まれません」。だから配偶者控除の優遇規定にも影響しませんし、国民健康保険料にも影響されません。
税金に関しては何も気にせずに取引をして利益を出すことが可能なのですね!
まとめると……
一般口座
- メリット
・年間利益が20万円未満なら何もする必要がなく利益は全部自分のものです。
- デメリット
・年間利益が20万円を超えたら確定申告が必要になり、年間取引報告書を自分で作成しなければなりません。
特定口座源泉徴収あり
- メリット
・証券会社が年間取引報告書を作成して翌年1月末までに郵送してくれる。
・年間利益が20万円を超えても基本的に確定申告の必要はありません。
・確定申告をしなくて良いので扶養に入っていても収入が超えてしまう心配がありません。
・副業としてやっていても収入に合算する必要はないので住民税や健康保険税が増えません。
- デメリット
・年間利益が20万円未満の場合でも証券会社で引かれた源泉徴収税は戻って来ません。
特定口座源泉徴収なし
- メリット
・会社が年間取引報告書を作成して翌年1月末までに郵送してくれる。年間利益が20万円未満の場合は源泉徴収ありのような税金の払い損がない。
- デメリット
・年間利益が20万円を超えると確定申告をして納税しなければならない。
・扶養に入っている場合はパートなどの収入や株の利益の合算によって扶養から外される危険もある。
副業としてやっている場合は本職の収入との合算により住民税や健康保険税が増える。
まとめ
あなたがサラリーマンなら、特定口座源泉徴収ありの方が確定申告の手間や税金対策の面を考えた場合得策です(サラリーマンでなくてもですけど)。源泉徴収なしの場合だと年間損益が20万円未満だと個々の取引によって引かれる税金が損となりますが、源泉徴収ありのメリットに比べたら小さいことだと思いませんか?
合計所得金額として計上されるかされないかはとても大きく、あなたが莫大な利益を出した場合は直結します(私としても、より大きな利益を手にして欲しいですしね!)。
もし源泉徴収ありなしを変更したくなったなら、年度の切り替え時に変更出来ます(一度でも取引すると変更出来なくなりますが)。そういう意味でも、一般か特定かという部分では特定口座さえ選んでおけば悩むこともないでしょう。
ちなみに私は特定口座源泉徴収ありです。あなたならどの口座タイプにしますか?!