2018年に入り、コインチェックの仮想通貨流出事件が大きく報道され、それまで仮想通貨を知らなかった人にも広く周知されるようになりました。事件をきっかけに仮想通貨を知った人は、手を出すと危ないものと感じている方もいると思います。
しかし、仮想通貨の技術が多くの分野で利用されるようになれば、今後もっと身近なものになる可能性があります。
今回は、仮想通貨の中で最も有名なビットコインの今後について解説します。
ビットコインの仕組みを簡単におさらい
まず、ビットコインの仕組みを簡単におさらいしておきましょう。ビットコインは、Satoshi Nakamoto名義で2008年に発表された論文に基づき、2009年にスタートした世界初の仮想通貨です。BTCという単位で表されます。
公式サイト:bitcoin(https://bitcoin.org/ja/)
ビットコインは今も初心者に一番向いている仮想通貨
なんと言っても、ビットコインは取引量が多い仮想通貨です。どの取引所でも扱われており、時価総額も断トツ1位なので、初心者でも安心して保有できます。
月間ボリュームランキング(通貨)-CoinMarketCap(2018年6月12日)
仮想通貨時価総額上位100-CoinMarketCap(2018年6月12日)
ビットコインのブロックチェーン技術が大手企業で採用されている
国内でも、ビットコインによる決済ができるお店やサービスが増えてきています。中でも、「世界を変えるコイン。ビットコインは、ビットフライヤー」というキャッチコピーで運営している仮想通貨取引所ビットフライヤーと提携することで、ビットコインでの決済を行っている企業が目立ちます。例えば、家電量販店のヤマダ電機、ビックカメラ(コジマ、ソフマップ含む)、旅行業界ではH.I.S、医療の分野では湘南美容クリニックなどがあります。もちろん、ビットフライヤーとの提携に関わらず、ビットコインを決済に使えるお店は他にもあります。
ビットフライヤーは、日本で最初のビットコイン販売所で、大手企業が多数株主として出資していることから、多くの企業がビットコインの将来性に注目していることがわかります。決済としてだけでなく、ビットコインのブロックチェーン技術を用いた新たな事業を模索している企業もあります。
2017年4月1日から仮想通貨に関する制度が新しく始まったことや2020年に行われる東京オリンピックに向けて外国人旅行客の利便性向上のためにも多くの企業がビットコインによる決済やブロックチェーン技術を活用したサービス・事業に参入している状況です。
簡単に言えば店舗の無い巨大な銀行
ビットコインは、特定の店舗や中央システムを持たず、ビットコインを取引しているユーザーの端末に分散して保管されています。これは、簡単に言ってしまえば店舗の無い巨大な銀行というイメージです。ひとつひとつの取引をブロックに記録し、そのブロック同士はチェーンによって結び付けられています。
これを保管している各ユーザーの端末はノードと呼ばれ、ノードによって検証されて問題ないと判断された取引だけが新しくブロックとして追加されます。これがブロックチェーンの仕組みです。たとえ1つのノードのブロックを改ざんしたとしても複数のノードによって整合性がチェックされるので、基本的に改ざんができないようになっています。
取引の承認作業によって報酬を得る事ができる
「簡単に言えば店舗の無い巨大な銀行」で説明した通り、各取引はノードによって検証され、問題ないと判断した取引を承認すると、新たなブロックを追加します。これはマイニング(採掘)と呼ばれ、膨大な量の計算が必要になる作業なので、成功して取引の承認をした人には報酬がもらえます。
ビットコインの現在の相場は一時期よりも下がっているのは事実
ビットコイン チャート(2018年6月13日)-CoinMarketCap
これは、2018年6月13日時点のビットコインのチャートです。2016年12月21日からの動きを示しています。BTC/USDの相場です。2017年1月の時点で1BTCが約1,000USD前後だったのに対し、12月には約19,000USDに上昇し、1年間で20倍もの値を付けています。これは米ドルのチャートですが、同様に日本円でも1BTCが12万円から220万円と約20倍に上昇しました。その後は徐々に下降し、現在の相場は約70万円(6,500USD)で一時期よりも下がっています。
ビットコイン取引で多くの人が誤解をしている事とは?
ビットコインの取引で、多くの人が誤解しがちなことについて記載しておきます。
ビットコインが高いというのは見方による!
「ビットコインの現在の相場は一時期よりも下がっているのは事実」で記述したように、ビットコインの現在の相場は、1BTCが70万円ほどです。仮想通貨の中で最もメジャーで取り扱っている取引所も多いので、仮想通貨を始めようと考えている方は、まずビットコインの購入を検討する方が多いと思います。この相場を見ると、なかなか手が出せないと感じてしまうかもしれませんが、実は購入できる最小単位は1BTCではありません。1BTCよりもっと少額のビットコインを購入することが可能です。
例えば、先にも紹介したビットフライヤーの例を見てみましょう。
出典:bitFlyer
1円分から購入することができるそうです。こちらの「手数料一覧・税」のページにもビットコイン販売・買取単位が記載されており、0.00000001 BTC から販売・買取できるとあります。現在の相場だと、1円は約0.00000143BTCなので、仮に10,000円分なら、0.0143BTC購入できます。
マイニングへの新規参入はリスクが高い
ビットコインのマイニングには、承認システムとしてPoW(Proof of Work)が採用されています。これは、仕事量が多い人ほど承認権が得やすくなるシステムです。つまり、パソコンによる膨大な計算をよりたくさん行った人が承認権を得て、マイニングによる報酬も得られるということです。電気の消費量が激しく、高額な電気代がかかるマイニングに個人で新規参入しても、承認権を得られる確率は低く、それまでの経費が無駄になるリスクの方が高いと言えます。
しかし、マイニングは個人でなくても参加することができます。その方法には2種類あり、プールマイニングとクラウドマイニングです。
プールマイニングは、グループで計算力を合わせてマイニングを行うという方法です。マイニングを行う会社にネットワーク経由で自分の端末の計算力を貸す代わりに報酬として仮想通貨がもらえます。プールマイニングを行っている企業には、世界最大級のマイニングプールAntpoolやMinerGateなどがあります。
クラウドマイニングは、マイニングをしている企業に投資して、その利益を分配してもらうという方法です。クラウドマイニングを行っている企業には、Genesis MiningやHash Flareなどがあります。
これら2つなら、比較的安定した収入が得られ、初心者でもマイニングに参入しやすい方法です。
ビットコインのホールドで儲かり続けるわけではない
ビットコインのホールドとは、購入したビットコインを市場の価格変動に関わらず保有し続けることです。日々の上がり下がりで短期的に売り買いするよりも、長い目で見て右肩上がりならばホールドしていたほうが儲かるという見方です。しかし、何かのきっかけで価格が暴落し、そのまま低迷が続いたり、0円になったりすることがあれば、投資した金額が無駄になってしまいます。
ビットコインが暴落した原因とは
先に見たように、ビットコインは2017年の1年間で約20倍にも値上がりしました。しかし、2018年に入ってからは価格が下がっています。この原因には、次の4つが挙げられます。
ハッキングによる仮想通貨流出事件が原因で暴落
2018年1月26日に仮想通貨取引所のコインチェックがハッキングされ、管理していた約580億円分のネム(XEM)を不正に流出してしまう事件が起こりました。これは、仮想通貨自体に問題があったわけではなく、コインチェックの管理体制の甘さをつかれて起こった事件です。狙われた通貨はネム(XEM)で、ビットコインではなかったものの、仮想通貨全体に対する安全性への懸念が生じ、ビットコインの価格下落につながった可能性があります。
中国で仮想通貨のマイニングに対しての勧告があった
2018年に入り、中国当局はビットコインのマイニングの停止を指導するよう地方当局に命じました。中国はビットコインマイニングの約80%を占めており、中国でのマイニングができなくなれば、大きな打撃を受ける可能性があります。このことを危惧し、ビットコインの価格が急落した可能性があります。
⇒ビットコイン、中国での「採掘」に終止符 当局が停止命令-ウォールストリートジャーナル日本版
ハードフォークに対する懸念のニュース
2018年2月28日にビットコインがハードフォークするというニュースがありました。このハードフォークによって誕生したのが、ビットコインプライベート(BTCP)です。ビットコインは今までにも何度もハードフォークを行い、ビットコインキャッシュ(BCH)、ビットコインゴールド(BTG)などを生み出してきました。
ハードフォークは、新たな通貨を作る方法ではなく、本来通貨をアップデートすることです。その結果、旧通貨と新通貨が別々の通貨として同時に存続することになります。このハードフォークによるトラブルを懸念して、ビットコインの価格が下落した可能性があります。
中国での仮想通貨禁止と取引所の閉鎖
中国ではマイニングに対する規制が出されたと述べましたが、それより先に仮想通貨取引所を禁止しています。さらにネットや携帯アプリなどによる仮想通貨取引も対象とし、規制を強化しています。このこともビットコインが価格を下げる背景となった可能性があります。
⇒中国、仮想通貨の規制強化 ネット取引や携帯アプリなど対象-SankeiBiz
ビットコインはまだまだ将来性がある仮想通貨
「ビットコインが暴落した原因とは」で見たように、様々な要因の下に現在は一時期に比べ価格が低迷しています。しかし、ビットコインは、時価総額も断トツトップの仮想通貨で、取引できる取引所や決済に使えるお店やサービスが多いことから、今後もさらに普及する可能性がある仮想通貨だと言えます。仮想通貨を始めたいけどどれにしようか迷っている方は、まずはビットコインから始めてみてはいかかでしょうか。