仮想通貨についてのニュースなどよく目にするようになりましたよね。どんなものなのか気になっている方や取引を検討中の方もいるのではないでしょうか。
仮想通貨の名前でビットコインというのはご存知の方も多いと思います。仮想通貨には、ビットコイン以外にも様々なものあり、これらをまとめてアルトコインと呼びます。
今回は、アルトコインの中のネムに焦点を当て、気になるニュースと将来性について解説します。
まずは仮想通貨ネムの特徴をおさらい
仮想通貨ネムの特徴をおさらいしておきましょう。ネムは、bitcointalkのフォーラムのutopianfutureというハンドルネームのチームによって、新しい経済圏を作ることを目標として開発された通貨です。New Economy Movement(新しい経済運動)の頭文字が名前の由来となっています。XEMという単位で表されます。
公式サイト:NEM(https://nem.io/)
マイニングではなくハーベストを行う
通常、多くの仮想通貨はマイニングによって取引情報を解析し、承認されればブロックチェーンに追加されます。そして、その報酬として仮想通貨が新規に発行されます。ネム(XEM)の発行上限枚数は、8,999,999,999XEMですが、これはすでに発行済みで新規発行はありません。そのため、マイニングもありません。
その代わりに、ハーベスト(ハーベスティング、収穫)を行います。成功すれば、報酬ももらえます。ハーベストは、ビットコインのマイニングで問題となっている膨大な電力消費を必要としないので、多くの人が比較的参加しやすい仕組みとなっています。
ハーベストには2つの方法があり、ローカルハーベストとデリゲート(委任)ハーベストと呼ばれています。
ローカルハーベストは、常にパソコンをオンラインにしておくと、PoIによって承認権が回ってきたときにパソコンが作業を行うという方法です。
デリゲート(委任)ハーベストは、スーパーノードと呼ばれる特別なノードにハーベスト作業を委任し、その報酬の一部を得るという方法です。
PoIという承認システムを採用している仮想通貨
マイニングやハーベストを行う際の承認システムには様々な方法がありますが、ネム(XEM)の場合、PoIというシステムを採用しています。PoIはProof of Importanceの略で、アカウントに付与されるImportance(重要度)の値が高い人ほど承認権を得やすいという仕組みです。
Importance(重要度)は、保有しているネム(XEM)の量だけでなく、取引をした額や人も考慮して算出されます。つまり、ネム(XEM)の取引を活発に行い、ネム(XEM)に貢献した人に承認権が与えられるということです。
送金する時にメッセージを付ける必要がある
ネム(XEM)は、取引所に送金する際に、メッセージを必ず付けなければなりません。それは、取引所のどのアカウントに送金するのかが、メッセージで指定しないと判別できないからです。
新しい仮想通貨を発行することができる
ネムには、個人で新しい仮想通貨(トークン)を発行できる機能があります。それがネームスペースとモザイクという仕組みです。ネームスペースが通貨の所在、モザイクが通貨を表しています。例えば、日本の東京がABCという仮想通貨を発行する場合、ネームスペースJAPAN、サブネームスペースTOKYO、モザイクABCで、発行した仮想通貨は、JAPAN:TOKYO:ABCと表すことができます。このネームスペースやモザイクを利用するには使用料を払う必要があります。
この独自に発行した仮想通貨の使用目的は、主に資金調達(ICO)です。例えば、あるプロジェクトに必要な資金を、独自の仮想通貨を発行して、プロジェクトに賛同する人に買ってもらうことで調達します。もしプロジェクトに成功して、通貨自体の価値が上がれば、投資した人にもメリットがあります。
ネムを保有する事のメリットについて
ネム(XEM)を保有するメリットについてまとめます。主にハーベストによる報酬を目的とする場合、メリットには次の2つが挙げられます。
承認作業にかかるコストが安く済む
マイニングによる報酬を目的とする場合、マイニングを行うのにハイスペックなパソコンやマイニングソフトなどを準備する必要があったり、膨大な電気代がかかったりと、非常にコストがかかります。その点、PoIという承認システムを採用しているハーベストでは、それらのコストが安く済むというメリットがあります。
有益な取引を頻繁に行うユーザーの承認率が高くなる
PoIによりネム(XEM)の保有量だけでなく、有益な取引を行うユーザーの承認率が高くなる仕組みになっています。保有する通貨量が多いほど承認権が得やすいPoS(Proof of Stake)や高額な電気代のかかるPoW(Proof of Work)に比べると、NEM(XEM)はより多くの人がハーベストに参加しやすくなっています。
ネムを保有する事のデメリットについて
反対に、ネムを保有するデメリットについてまとめます。
流動性重視とは言っても未だ通貨保有量が多い人が有利である
ネム(XEM)は、ハーベストの承認システムにPoIを採用しているので、保有している通貨の量だけでなく、Importance(重要度)が高い人ほど承認権を得やすいと説明しました。
保有する通貨量が多いほど承認権が得やすいPoS(Proof of Stake)の場合、承認権を得るために通貨を貯めこんでしまい流動性が低くなってしまうのが問題ですが、ネム(XEM)は、PoIを採用することによって、流動性を確保しているのです。
ただ、現状ではImportance(重要度)算出に取引量などその他の要素がそこまで大きく反映されていないようで、保有している通貨が多い人に承認権が回ってきやすくなっています。
規制や流出事件のニュースで変動しやすい
これは、仮想通貨全般に言えることですが、特にネム(XEM)に関しては2018年1月26日にコインチェックがハッキングされ、管理していた約580億円分のネム(XEM)を不正に流出しまった事件が記憶に新しいところです。
この事件は、仮想通貨ネム自体の問題ではなく、コインチェックの管理体制に問題があり起こったことですが、このニュースによりネム(XEM)の取引を躊躇する投資家もいるでしょう。規制や流出事件のニュースだけでなく、ハードフォーク予定など様々な動向が価格に影響するのが仮想通貨なので、日々情報に敏感である必要があります。
⇒コインチェックの仮想通貨不正流出、過去最大580億円-日本経済新聞
ネムの今後と将来性について
ネムの今後と将来性についてまとめます。以下に挙げる3点から、ネムは今後需要が伸びる将来性の高い仮想通貨だと言えます。
カタパルトによってクレジットカード決済並みになる
カタパルトとは、テックビューロ社によって開発されたプラットフォームmijinに改良、修正を加えたプロジェクトのことです。このカタパルトがネムに実装されれば、クレジットカード決済並みに処理速度が向上します。
公式サイト:mijin(http://mijin.io/ja/catapult)
⇒NEMとMijinそしてCatapultの関係とは?-NEM Blog
アポスティーユの技術が様々な企業で使われる可能性がある
ネムには、アポスティーユ(Apostille)という機能があります。アポスティーユとは、いわゆる公証のことで、一般的な例としては、不動産登記簿への登記や選挙人名簿への登録、戸籍の記載などが挙げられます。つまり、通常は、当事者間の契約や約束による事実を行政機関などの第三者が証明書を発行することで公証が成り立ちますが、ネムのアポスティーユ機能を使えば、第三者の証明を必要とせずに公証ができるということです。
ブロックチェーンは改ざんができないので、公証には向いている技術と言えます。現状の公証には時間や費用がかかるので、ネムのアポスティーユが様々な企業で導入される可能性があります。
手数料が安く投資家が参入しやすいので将来性が高い
ネムを取り扱っている国内の仮想通貨取引所にZaifがあります。Zaifは、「カタパルトによってクレジットカード決済並みになる」で紹介したmijinを開発している企業テックビューロ社が運営している仮想通貨取引所です。Zaifは、手数料が安いことでも知られています(Zaif-手数料一覧)。このことから投資家が参入しやすいという面があります。
根強い人気で今後も安定した取引が見込める仮想通貨である
ネムは、コインチェックのハッキング事件により、多くの人に知られるようになりました。一時期はネムの取引を躊躇する投資家もいたかもしれませんが、ネムについて深く知るうちにその将来性が見直されるきっかけにもなったことでしょう。カタパルトによる機能向上やアポスティーユの企業導入などが進めば、今後さらに需要の拡大が期待できる仮想通貨です。
仮想通貨の取引を考えている方は、ネム(XEM)も視野に入れ、ぜひ今後の動向に注目してみてください。