仮想通貨と聞いて、最初に思い浮かべるのは、ビットコインではないでしょうか。ビットコイン以外の仮想通貨を総称して、アルトコインと呼びます。アルトコインにも様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
今回は、アルトコインの中のイーサリアムを取り上げ、その将来性と今後の予想についてお話します。
まずはイーサリアムの特徴のおさらい
イーサリアムの特徴をおさらいしておきましょう。イーサリアムは、Ethereum Foundationによって運営されているプラットフォームのことで、このプラットフォームの使用料を支払うために用いられるのが仮想通貨のイーサリアムです。通貨としてはETHという単位で表されます。
公式サイト:Ethereum Project(https://www.ethereum.org/)
ビットコインに次ぐ時価総額が大きな仮想通貨
イーサリアムは、ビットコインに次いで時価総額が大きな仮想通貨です。2018年6月5日に更新されたCoinMarketCapの仮想通貨時価総額上位100によると、1位はビットコインの13兆9200万円、2位はイーサリアムの6兆4500万円と続きます。
DAppによって直接取引を行う事ができる技術を採用している
DAppとは、Decentralized Applicationの略で、分散型アプリケーションのことを指します。1つの企業や組織などがアプリケーションを管理するのではなく、ブロックチェーンの技術を使って分散して管理します。そのため、ユーザーが開発に参加することができるので、企業の倒産によるサービスの停止などの心配がなく、ユーザーによる利便性の向上を図ることもできます。
例えば、イーサリアムで作られた有名なゲームにCryptoKitties(クリプトキティズ)があります。これは、イーサリアム上で仮想の猫を売買するゲームです。もちろん売買に用いられる通貨はイーサリアム(ETH)です。イーサリアム(ETH)は、このようなイーサリアム上のDAppを通して、直接取引を行うことができます。
ERC20というトークンの発行ができる
ERC20は、ICO(仮想通貨による資金調達)との関わりで説明されることが多いです。イーサリアム(ETH)という仮想通貨の運営に賛同する投資家から資金を調達する際、資金をもらう代わりに新たなコインを投資家に渡します。その時に渡されるコインがトークンです。トークンには様々な種類がありますが、イーサリアムで発行するトークンに関する統一した仕様がERC20と呼ばれるものです。ERC20に準拠したトークンは、仕様が決まっているので、作る側にとっても作りやすく、受け取る側にとっても扱いやすいものになります。
また、トークンはウォレットに保管しておく必要があります。ERC20に準拠したトークンであれば、1つのウォレットにまとめて保管することができ、その点でも管理しやすくなります。
現在はPoWで採掘によって新規発行されている
PoWとは、Proof of Workの略で、マイニング(採掘)によってブロックチェーン上に新たなブロックを追加する作業のことを指します。イーサリアムで採用されているPoWは、ルールとして、計算処理を最も行った人のブロックを承認するようになっています。このマイニングに成功し、PoWを行った人に対して、報酬としてイーサリアムが新規発行される仕組みをとっています。
イーサリアムは将来性が非常に高い仮想通貨
イーサリアムは、次の3点から非常に将来性が高い仮想通貨と言えます。
仲介手数料が必要ない個人間の取引に利用できる
先に紹介したCryptoKitties(クリプトキティズ)のように、イーサリアムで作られたアプリで発生する売買には通貨としてイーサリアム(ETH)が用いられます。例えば、安く買った猫を高く売ることができれば、差額分を儲けることができます。CryptoKitties(クリプトキティズ)は、ゲームをしながら投資をすることができるアプリなのです。
イーサリアム(ETH)を他の仮想通貨や法定通貨に交換する場合には、取引所を利用する必要がありますが、イーサリアム(ETH)同士の決済を利用して投資ができるという点では、仲介手数料が必要のない個人間の取引ということができます。
イーサリアムの技術でソフト開発ができる
最初におさらいしたように、イーサリアムは、ブロックチェーン技術を用いたプラットフォームです。イーサリアム上でDApp(分散型アプリケーション)を開発することができます。分散型であることから、1つのアプリをユーザー全員で作り上げることができ、ユーザー自身でアプリの利便性や操作性などを向上させることが可能です。
その上、そこで利用される通貨はイーサリアム(ETH)なので、イーサリアム上で開発されたアプリが増えれば、必然的にイーサリアム(ETH)の需要も増えることになります。
金融業界でイーサリアムの導入が増え金融が変わる可能性がある
イーサリアムが採用しているスマートコントラクトという技術が、多くの企業から注目を集める理由のひとつです。スマートコントラクトは、取引情報だけでなく、ブロックチェーン上に契約内容も記録することができます。さらに、その契約内容を自動的に履行させることもできます。
金融業界では、このような技術の活用方法を模索し、実証実験を行っています。また、大手コンサルのデロイトは、イーサリアムのブロックチェーン上で動作するアプリやソフトを開発する企業ConsenSysと提携し、金融機関30社と共に、イーサリアムのブロックチェーン技術を活用した銀行を作ることを発表しました。
金融業界だけでなく、不動産や自動車など様々な分野での活用も期待されており、その活用方法を協議するEEA(イーサリアム連合)も設立されています。日本からも、トヨタや三菱UFJなどが加盟し、今後の運用が拡大する可能性があります。
⇒トヨタ、三菱東京UFJなど国内6社、ブロックチェーン「イーサリアム」連合に加盟-CNET JAPAN
イーサリアムの問題点について
ここまで見てきた通り、将来性の高いイーサリアムですが、問題点もあります。それは、次の2つです。
マイニングの難易度が比較的高めである
マイニングで儲けようと考えている人にとっては、比較的難易度が高めであることがデメリットとなります。マイニングの難易度については、アルトコインを比較できるサイトBitInfoChartsを参考にすると便利です。
この表からわかるように、2017年に入ってから徐々にマイニングの難易度が上がって来て、2018年に入ってからも高いままに維持しています。これは、イーサリアムの知名度が上がるとともに、イーサリアムのマイニングに参入する人が増加したことにより、難易度も上がっている状況であることを示しています。
メインチェーンしかないのでスケーラビリティの問題がある
スケーラビリティの問題とは、ブロックチェーンにおいて、決められたサイズのブロックに情報を記録することから、記録する情報量が増えてくるにつれ、処理速度が遅くなってしまうという問題です。イーサリアムの場合、スマートコントラクトを採用しているので、ブロックに記録されるのは取引情報に加え、契約内容も付加されます。当然情報量も増えるので、今後さらに普及してきたときにスケーラビリティの問題が発生すると考えられます。
今ある問題はバージョンアップで解決できる
しかし、以上のような2つの問題点は、バージョンアップによって解決できます。
イーサリアムは段階ごとに問題の解決ができる
イーサリアムは、4段階に分けてアップグレードすることが決まっています。その4段階とは、「フロンティア」「ホームステッド」「メトロポリス」「セレニティ」で、2018年3月時点で3段階の前半部分までが終了しています。
例えば、1段階の「フロンティア」では、実験的な使用を実現、2段階の「ホームステッド」では、一般の人が使える段階にするなど、その都度問題を解決しながらバージョンアップしています。
バージョンアップの最終段階までには、スケーラビリティの問題やマイニングの方法についても改善を目指すことが盛り込まれています。
マイニングの効率がアップする
イーサリアムでは、現在PoWによる方法でマイニングが行われていることは先に記載しました。しかし、今後のバージョンアップで、PoSという方法に移行することが決められています。
PoSは、Proof of Stakeの略で、保有しているコインが多い人ほど取引の記録を行うことができる仕組みです。PoW(Proof of Work)は、多くの人がマイニング成功時の報酬を競い合うため、コンピュータによる膨大な計算が必要になり、甚大な電力を消費してしまいます。それに対して、PoSに移行すれば、競合を減らし、同時に電力消費も減らすことができるというメリットがあります。
イーサリアムは安定して将来性のある仮想通貨である
イーサリアムは分散型アプリケーションを作成できるブロックチェーンプラットフォームで、そのプラットフォーム上で取引できる通貨がイーサリアム(ETH)だと紹介しました。イーサリアムの技術を活用できる分野は広く、金融業界にとどまりません。大企業や国際機関などもその活用を模索し、運用に乗り出しています。このような現状から、今後イーサリアムの需要が拡大し、それと共に通貨としてのイーサリアム(ETH)も広く普及することが予想されます。そう考えると、イーサリアムは将来性のある仮想通貨であると言えます。
仮想通貨を始めようと考えている方は、イーサリアム(ETH)を視野に入れてみてはいかがでしょうか。