誰もが憧れるセミリタイア……。
働くことに意義を持ち、社会との何らかの関わりで人に役立つことに喜びを感じる……セミリタイアで悠々自適なんて逆に苦痛という人もいれば、本当に早期退職して悠々自適に何かに縛られることなく自由に人生を謳歌したいという人も当然います。
あなたもそんなセミリタイアを実現させたいですか?
あなたはおいくつですか?
ここでは、30代・40代の人がセミリタイアするために必要となる条件と資金について書いてみたいと思います。まずは資金からいってみましょう。
必要資金 =「生活費」×「寿命」
セミリタイアに必要な資金は、月額としての生活費に12を掛けて一年分とし、それにセミリタイア後の余命を掛けるという式で算出します。セミリタイア後の余命については厚生労働省の平均余命データを使います。
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30代・40代ということで、ここでは30歳男性・30歳女性、40歳男性・40歳女性をピックアップします。平均余命は四捨五入します。
必要な生活費を月額10万円とします。
30歳男性 |
10万円×12カ月×51年 = 6120万円 |
30歳女性 |
10万円×12カ月×57年 = 6840万円 |
40歳男性 |
10万円×12カ月×42年 = 5040万円 |
40歳女性 |
10万円×12カ月×48年 = 5760万円 |
概算として述べるならば、30歳男性は6100万円、30歳女性は6800万円、40歳男性は5000万円、40歳女性は5700万円ということになりますね。
女性の方が平均寿命は長いので当然余命も長くなり、どちらも同じ年齢の男性に比べて700万円更に必要になるという結果となっています。
「最低金額」と「個別性の排除」が条件です
必要な費用を月額10万としたのには根拠があります。
まず総じて言えるのは「必要額はピンキリなので最低額とする」ということです。『年金だけでは足りない!ゆとりある老後の資金に必要な額はいくら?』で書いたように、価値観は人それぞれです。環境も人それぞれです。「毎月100万円」と書けば殆どの人が苦労しないでしょう(中にはまだ必要という人もいらっしゃるでしょうけど)。
あるにこしたことはないというものは、そもそも平均値を出すことは難しいし意味がある場合が余りありません。それならば最初から最低金額を提示した方が分かりやすいし話を進めやすいのですね。
この10万円というのは当然増減します。年金・保険その他毎月何らかの費用を必要としている人は当然増えるでしょう。不動産収入など何らかの収入が見込めるなら必要経費を支えてくれるでしょう。
持病がある人はそのコストが掛かります。そしてこのコストも抱えている病気によって全く変わります。
こういった環境の違いを全て網羅することは不可能ですから、最低月10万円としました。「え?10万円?少なくない?」という人は少し考えを改めた方が良いかも知れません。勿論人によって価格の変動があることは書いた通りですが、そういったもの以外に10万円と考えれば良いですし、その気になってやりくりすれば何とかやっていけるものです。
事実、『年金だけでは足りない!ゆとりある老後の資金に必要な額はいくら?』では、「老後の最低日常生活費は平均22.0万円」という統計結果を紹介しており、これを夫婦の月額費用と考えれば一人当たりは半分ということになりますのでやっていけない金額ではないのです。
単純にこの月額換算の生活費を年換算して寿命の考えを取り入れればシンプルですがある程度説得力のある資金を算出出来ます。
既述の通り、住居費などといった個別性が高いものは除外しています。賃貸暮らしの人や住宅ローンが残る人とローン完済の持ち家あるいは相続などで自己所有となっている持ち家の人とは当然のことながら前提が変わって来るのです。
そういった上乗せとは逆に、先にも書きましたが不動産収入や株式配当などといったものがある人はそれを余剰分として計算出来ますよね?
つまりこの資金の算出根拠は「誰もが等しく必要となる最低金額」をベースにしており、個別の部分はこの計算式を計算させる人によって変わって来るのです。
どこで何をして生活するのか、負債のない資産は何か、家族構成(一人あたりの金額として計算するにしても配偶者や子供がいればそれも加味しないといけませんよね?)、持病などの現状の事実の有無に応じて変わって来るのです。
リスクを考える
将来に対する資産ですから、当然何が起こるか分かりません。だからこそ予期出来ない部分はリスクとしてきちんと考慮する必要があります。
30代・40代ならこの算出式に余剰分として計上出来る年金もセミリタイアするまでの収入もブレやすいです。社会情勢や経済情勢、雇用情勢があるからです。
月10万円と嘲笑する人がいるのなら、それは「それではやっていけない」という人と「それくらい十分確保し続けられる」という人のどちらかでしょう。前者の人は、ならそれ以上を捻出するのに何を準備すべきですか?
後者の人は、収入が増えることがなかったとしても最低でも維持出来るという根拠はありますか?終身雇用も年向上列もありません。若いからまだつぶしがきくものの、年齢を重ねればきちんとした能力がない限り若者に労働市場を奪われます。
もしもの場合に備えるために逐一「何か起こるかも」・「こういうことが起きたらどうしよう」と気にし過ぎるのは精神衛生上良くありませんが、アバウト過ぎてもいけません。突如舞い降りて来たピンチに対してアバウトだったりズボラだったりするのはある意味それが救いになるかも知れませんが、出来るだけそういう時でも何とか出来るように備えはしておきたいですよね?
このサイトでは株式投資について色々と書いていますが、この記事にしても何にしても、全てのことにリスクの概念を取り入れられる人は備えが出来る人です。今は人生の一般的なレールを歩んでも中々厳しいご時世です。
セミリタイアを本気で考えるのなら、きちんとしたリスク管理が大事であって、実はこのリスク管理こそが一番の条件かも知れません。
まとめ
あなたがセミリタイアしたいと考えているのなら、その時点である程度のリスクは考えていらっしゃると思います。そしてその考えを「決断」に変えた時、それは「覚悟」となるでしょう。上手くいかなくなっても何とかやりくりしてその苦境をしのいだり、とね。
そのやりくりの間は常にこの計算式にあるように定期的に必要となる金額を『夏・冬ボーナスの使い道!ただ貯蓄するより賢い3つの使い方・貯め方』にあるように「ライフイベント」も加味して短期・中期・長期という時間軸を取り入れて考え、上手くやりくりして下さいね。
その過程で、『本気でセミリタイア生活を目指す!資産運用の3つのポイント』で紹介したような資産運用の考え方を取り入れるのも良いことだと思います。